小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

笑撃・これでもか物語 in 歯医者

INDEX|7ページ/35ページ|

次のページ前のページ
 


 高見沢の親不知、日本でも何度か疼いたことがあった。
 その度に歯医者に通った。そして、いつも歯医者から告げられた。
「この歯は、前へ向って水平に生えていますよね。ちょっと抜歯するのは無理かな。うーん、それは難しいし……、危険ですよ」
 これにいつも高見沢は「危険? そうなんですか」と、うじうじと返して、痛み止めの薬をもらうだけだった。 

 そしてとどのつまりが、ひたすら疼きがおさまるのをじっと待つ。それが日本での治療だった。 
 要は、日本の歯医者からは完全に見放された親不知。

 だが明らかにその日は違った。アメリカ人のデンティスト・マ−クは、その親不知を見るなり力強く宣言したのだ。
「I will take out !」
 これには高見沢も大びっくり。
 日本語で言えば、「私が、抜いちゃいましょ!」 と、アメリカ男の抜歯一発決めだ。 

「ねえマークさん、もう少し考えてよ。危険なんですよ!」
 高見沢はそう訴えたかった。しかし、あまりの迫力に反論する英語がうまく出てこない。 
「OK? イチローサン、ア−ユ− OK?」
 高見沢はマークから矢継ぎ早にせっつかれて、「OK」とハズミで返事をしてしまったのだ。

 それからの事だ。まるで格闘技のデスマッチ。それが始まったのだ。