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あの頃・・・それから

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   桜並木、後ろ姿の巧一たち
   菜々の黒髪が揺れる

10・校門 

   縦看板【新入生歓迎!】
 
   通り過ぎる、巧一たち

11・校舎入り口

   下駄箱の前で手を振って別れる、巧一と菜々たち

12・放課後=体育館=

   看板・新入生歓迎、クラブ活動で高校生活を楽しく!
   巧一、知り合ったばかりの田中と色々なクラブのブースを覗いて歩いている
   様々なクラブ員の勧誘の声
   巧一、カメラクラブの前に来て突然足を止める
 田中「おいおい、急にどうした?」
   巧一、一点を見つめながら言う
 巧一「俺、決めた。ここにする」
 田中「なんだよ、まだ見始めたばかりじゃないか?もっと観ようぜ?」
 巧一「いや、決めた」
 巧一が見つめているのは菜々が写っているポスターである
   田中、巧一の袖を引っ張るが動かない
 田中「もう、好きにしろ」
   田中、行ってしまう
   半逆光に光る黒髪・愛らしい微笑み
   真っ直ぐレンズを見据えている
   その時、背後から声がする
 祐介「水野菜々、いい顔してるだろ?」
 巧一「はい」
   巧一、声の方を振り返る
 祐介「俺は水野祐介、このクラブの部長だ」
 巧一「み・ず・の?ですか?」
 祐介「そうだよ、水野菜々の兄。菜々は中学からうちのクラブ専属のモデルを  
   してるんだよ」
 巧一「へーそうだったんですか?」
 祐介「どうする?入部するか?」
   巧一、居住まいを正して言う
 巧一「はい!ヨロシクお願いします。北村巧一です」
   祐介、その名前に驚く表情
 祐介「ほー?君か、そうか迷子のコウイチ君て言うのは」
 巧一「なんか聞いているんですか?」
 祐介「ああ、菜々は何でも話してくれるからね」
 巧一「(照れながら)越してきたばかりで、
   バスを乗り過ごしてしまい、お父さんには本当に助けてもらいました」
 祐介「だってなあ、もう迷わないか?」
 巧一「まあ何とか。でも毎日帰る道が違うんです」
   そこへ、カメラクラブの美人副部長小夜が乱入してくる
 小夜「あら水野君、一人獲得?」
 祐介「おお、決まったよ。北村巧一君だ」
 巧一「ヨロシクお願いします」
 小夜「巧一君かあ、よろしく」
   小夜、握手を求める
   巧一、反射的にその手を握る
 小夜「私は木村小夜。副部長をしてるの。小夜と呼んでね?」
 祐介「巧一君はこのポスターが気に入ったらしい」
   小夜、握手した手を放そうとしない。
 小夜「本当?嬉しい!これ私が撮ったのよ」
 巧一「菜々さんステキですよね?」
   その言葉に小夜手を放す
 小夜「なーんだ、菜々ちゃんが気に入った訳ね?」
 巧一「イヤー小夜さんもぜんぜんステキですよ」
   その言葉に機嫌を直す小夜
 小夜「まあイッカ」
   小夜、巧一のアゴや肩を触りながら言う
 小夜「じゃあ、今度あたしを撮ってみる?」
   小夜、色っぽい目つきになる。
 祐介「おいおい、よせよ、せっかくの新入部員が逃げちゃうだろ?」
 巧一「いいえ、逃げません」
   小夜、さらに続ける
 小夜「よーく見ると、結構カワイイじゃないの?」
 祐介「たくー!ホラ!部室へ行くぞ!」
 小夜「そうね、部室でゆっくりね?」
   そう言うと二人を残してさっさと行ってしまう
 祐介「変な奴だろ?どうかしちまったようだ」
   巧一と顔を見合わせる
 
13・部室・入り口

 ドアには菜々の写真。

14・同・中

   教室の半分程度の広さ
   壁には人物・風景の写真が区別して貼られている
   中では小夜を含め6人の部員がテーブルの上に写真を広げ談笑している
   ドアが開き、祐介の後巧一が入って来る
   それを見て、部員たち挨拶する
 部員全員「お疲れでーす」
   祐介、巧一の背中を押してみんなの前へ出す
 祐介「北村巧一君だ。高校入学とともにこの町越してきたばかりなんだそうだ。
   まだ友達も少ないから、仲良くしてやって欲しい」
 巧一「(頭を下げて)ヨロシクお願いします」
   祐介、全員の顔を見回す。
 祐介「あれー?俺だけか?新人連れてきたのは」
 弓 「8人ですね?10人満たないと同好会に格下げですね?」
 小夜「いいんじゃないの?それで」
 祐介「おお、ぜんぜんオッケーだよ。問題は部員のやる気だよ。
   (巧一を見て)俺と小夜が3年で後は2年生だよ」
 巧一「はい解りました(部員の方を向いて)キタムラコウイチです。
   コウイチと呼んでください」
 小夜「(立ち上がりながら)ヨロシクね。みんなを紹介するわ。
   私の右手から、吉村弓、とにかく頑固で元気」
 弓 「ヨロシク、楽しく厳しくやろうね?」
 小夜「その隣が鈴木マリ、基本的に優しい子ね?ちょっと撮影にも消極的」
 マリ「(立つ)頑張りましょう」 
 小夜「次が西川とも、トモ君」
 西川「(小夜の言葉にかぶせて)智弘です。みんなにトモと呼ばれてます」
 小夜「ごめんねトモ君、いつもトモ君としか呼んでないからついね、
   とにかく細かい写真博士みたいな子。次にミムッチ、三村良史。彼は黙々タイプ」
 三村「よろしく」
 小夜「最後がタカボン、下林孝雄。彼は行動派」
 下林「俺は人物より山や自然が大好き。よろしくな?」
 祐介「適切な紹介ありがとう。さすがカメラマン志望の小夜だよ。ヨッシ!来週の打ち   合わせをしよう。巧一君も入って」
   二人も小夜を挟んで席につく
   
15・部室=数分後=

   時計・5時30分
   チャイムが鳴る
   部員、個々に写真談義をしている
 祐介「そろそろ終わるか?」
   巧一、西川に捕まっている
 西川「へー(みんなに促す)みんな聞いて?巧一君のお父さんカメラマンだって?
   部長!スッゴイ新人を捕まえましたね?」
 祐介「ほー、そうなんだ」
 小夜「スッゴイジャン。私弟子入りしようかしら(巧一に迫る)いい?」
 巧一「じゃあ聞いてみます」
 小夜「(巧一の手を掴み)ホント?ヨロシクね?」
   そこへ、ドアが開き菜々が入ってくる
 菜々「お兄ちゃん、帰ろう?」
   菜々、巧一に驚くがすぐ笑顔に変わり巧一に寄ってくる
 菜々「アレレ、巧一君は入ったの?」
 巧一「ああ。お兄さんに誘われた」
 弓 「違うらしいわよ。菜々ちゃんの写真に誘われたみたいよ」
 巧一「(顔を赤くして弓を見る)違いますよ。たまたまですよ」
 小夜「まあイイッテこと。入部したんだから(冷やかしの目つきで)
   きっかけはどうであれ」
 巧一「(頭をかきなが)マイッタなあ(菜々を見る)」
 菜々「じゃあ。あたしを撮ってくれるのね?嬉しい!」
   菜々の満面の笑み
 祐介「さあ帰るぞ?」
   全員部室を出る
   明り消され暗転

16・バスの中
  
   菜々を挟んで左右に巧一と祐介が並んで最後部席に座っている
 祐介「日曜日は遅れるなよ?このバスで終点だからな?」
 菜々「楽しみだなー、巧一君に撮ってもらえるなんて」
作品名:あの頃・・・それから 作家名:Riki 相馬