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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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ファントム・サイバー

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Link7 ワールド


 ――目覚めるんだ。
 私は誰かに呼ばれたような気がして、永い眠りから目を覚ました。
 辺りを見回して、ここが病院だということが知れた。
 誰かが用意してくれたのか、年号と日付が表示される時計が置いてあった。
 そうか……。
 私はIT関係の仕事していた。多くの大金も掴み、それなりに幸せだったのだろう。
 記憶と時計の年号を照らし合わせると、大よそ七年前にその事故は起きた。
 その事故が起きた日は酷い土砂降りだった。私はいつものように会社に出勤しようと、愛車のバイクに乗って走っていたところを、大型トラックに跳ね飛ばされたのだ。
 どうやら私は死に損なったらしい。手も足も、全て作りモノのようだ。
「……薔薇の香?」
 呟いた男の口元は微笑んでいた。
 どちらが幸せだったのだろうな?
 私は病院関係者が来る前に、ここから逃げ出すことにした。
 どうやら天は私に大いなる力を授けたらしい。
 私は内から込み上げる力を感じた。
 あの世界での法則を私の身体は受け継いだままなのだと――。

 鼻を衝く薔薇の香であたしは目を覚ました。
「あたし……」
 付けっぱなしのノートパソコンが腕の前にあった。
「そうか、全部終わったんだ」
 ものスゴイ喪失感。
 胸が苦しい。
 あたしは大切なものを失ってしまった。
 リョウはどうなったの?
 本当に一緒に滅びてしまったの?
 信じられないし、信じたくない、誰かウソだって言って!
 だって、悲しすぎる。
 ファントム・メアに取り込まれたとき、あたしは逢えたのリョウに……。
 楔に繋がれ磔にされたリョウ。暗闇の中で、弱かったケド輝いていた。あれが本物のリョウなの。
 だいじょぶ、いつか必ず救うから待ってて……リョウ。

 今回は恥ずべき失態だったと言わざるを得ない。
 ローズにやられるならまだしも、新米のメタルに不意を衝かれるなんて……。
 まだまだボクは活躍し足りないよ。
 しかし、真のファントム何度でも蘇る。
 嗚呼、意識が遠退いていく。
 暗黒の眠りの中で、ボクは待つとするよ……。
 次の覚醒めをね……。
 それでは、ごきげんよう……。

 (完)