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秘密の花園で待つ少年 ~叔母さんとぼくの冒険旅行~

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第一章 旅立ちは突然に!



 ぼくのおばさんは、お母さんより4つ歳の離れた姉妹で、三十路になってもまだ結婚する様子もなく、自由気ままに暮らしている。
 ぼくが生まれる前にいろいろ遭ったらしいんだけど、彼氏ができないのってそれ以前の理由な気がする…。がさつで、声が大きくいつも騒々しく現れて、夕飯としっかりデザートを食べ、たまにぼくとゲームなどで遊んで、そして騒々しく帰る。
 明るくて楽しい人かもしれないけれど、三十になった女性がそれでいいのだろうかと、ぼくでも心配になっちゃうよ…。
 あの後、数日して、いきなり現れて写真屋に連れて行かれて証明写真を撮らされ、買い物につき合わされた帰りにアイス一つで面倒みてやった感じのことを言って帰ったりなど、叔母さんの行動にはいつも振り回されているんだ。

 そして、一番ビックリしたのは夏休みに入って、おばさんのマンションに行った朝のことだった。
 これまでの、ぼくの世界が一遍する出来事がこれから起こるなんて、ぼくを預けたお母さんだって思いもつかなかっただろうと思う。

「おはよー。おじゃましまーっす。一週間お願いしまーす。」
「おはよう!とりあえず、持ってきたもの洗いざらい見せてもらうわよ」
 かなり早めの時間を指定してぼくを家に呼んだおばさんは、ベージュ色したリネンのサマードレスと帽子をかぶって、出かける準備を出来上がっていた。ぼくが家の中に上がると直ぐに、持ってきたボストンバックの中の荷物を広げ、満足げに言った。
「ズボンがデニムの短いの一本にカーキ色のロールアップの一本、Tシャツ3枚と綿の白シャツ一枚…歯ブラシ、靴下、下着が4枚ずつ。靴は伝えてあったように学校指定の革靴履いてきたわね?よしよし、一週間分くらいの着替えが入っているわね。姉さんに持たされた携帯電話の機種は私と一緒だし、ポータブルゲーム機は専用充電器を私が持っているからOKね。もしかしたら、夜は寒いといけないから私のパーカー貸してあげる。腰にでもくくっておきなさい。宿題は置いて…え、出すな?別にいいけど…そういえばあんた、お小遣いはいくら貰ってるの?」
 投げ出されたパーカーを受け止めて、ぼくは目をしばたいて言った。
「とりあえず1万円。」
「んっかー。今時のお子様はお小遣い1万も貰ってるの?信じらんない!…でもまあ、今回は助かったかな。私もそっちの心配はしなくてもよさそうよね。」
 叔母さんは何か考えながら一人でぶつぶつ言っているが、このお小遣いが、食費の分も含まれていることに気がついていないようだ。
 お母さんからおばさんに渡して必要な分だけ貰いなさいと言われていたのだ。
 ぼくだって、お小遣いでこんなに渡されたことなんてない。ぼくにとっても大金で、ウエストポーチの中の財布が重くなった気がする。
 それを言う前に叔母さんによって妨げられたのだが、これは、言わなくても良さそうだな…。
「ああ、これはあんたのお守り。無くしちゃ駄目よ。盗まれないように首からぶら下げて服の中にでも入れときなさい。」
 渡されたのは首から下げられる紐がついた、チャックのついた布の財布のようなもの。中には青い小さな小冊子が入っている。
 英語で書かれた単語は、ジャパン…パス、ポート?と読むのかな?
 ページを開くと数日前に写真屋撮られた仏頂面のぼくの写真が載っている。そして日本語とローマ字で書かれたぼくの名前と誕生日、発行年月日と有効期間が五年後になっていた。
「…ぃよっっし!準備はいいわね。行くわよ。鹿朗!」
「はぁ?!どこへ?」
 甲高い声で質問をするぼくへ、叔母さんはニヤリと悪戯っぽい顔で笑うと、大きな旅行用スーツケースを引っ張り出しズドンと横に置いて、声高々と宣言した。

「新作小説のための取材旅行よ!」


 こうして、ぼくと叔母さんの奇怪な旅行が始まったのだ!