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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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厠の華子さん

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「もう、こうなったらなんでもいいわ。蓮田くんなんとかしなさいよ!」
「なんとかと言われましても、拙者の魔導力じゃ奴に太刀打ちできないでござるよぉ」
「そんなことないわよ。だって、あたしのこと何度も助けてくれたじゃない!」
「だども……」
「召喚でもなんでもして、外の奴をコテンパンにやっつけてもらっちゃってよ」
「召喚と申されても道具を持ち合わせてないでござるし、ここでできる召喚と言ったら……」
「ここでできる召喚があるなら、なんでもいいからやって!」
 髪の毛をかき乱した風彦は考え込むように唸り、意を決したように三番目の個室の扉の前に立った。
「わかりました、召喚するでござる」
 息を大きく呑んだ風彦は大きく拳を振り上げた。
 いったい風彦はなにをしようとしているのか?
 トントントンとリズミカルに風彦はドアを三回ノックした。
 ――返事はない。
 そして、召喚の呪文を唱える。
「はなこさん、遊びましょう♪」
 ……茜フリーズ。そして、再起動。
「は!? なにやってんの蓮田くん?」
 意味フだった。風彦の奇行は茜の常識を逸脱していた。範囲適用外!
 しかし、風彦は構うことなく真剣な顔をして、個室をオープン・ザ・ドア!
 開かれた個室から流れ出す芳しき花の香り。
「わたくしとお遊びしたいのかしら?」
 個室の中に現れた妖艶な美女が朱唇[シュシン]を吊り上げた。
 前髪は眉の辺りで綺麗に切り揃えられ、長く美しい黒髪からは芳しい花の香りプラス微妙にお香の匂い――おばあちゃんの匂いがする。
 黒い髪とコントラストになっている蒼白い顔には、二本の柳眉[リョウビ]が走り、筋の通った鼻梁[ビリョウ]の下には、形の良い朱唇[シュシン]が不適な笑みを浮かべていた。
 個室の中にいたのは、なんと着物姿の絶世の美女だったのだ。