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Under the Rose

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02.通り雨(4/4)



「桂ちゃん、その吸血鬼さんがどんな外見なのかってことは聞いてないの?」
「ああ。言ってたけど、多分あてにならないわよ」
「なんて?」
「泣きぼくろの女、ですって。あとはおさげの少女だとか、白髪まじりの眼鏡の青年だとか、天使の羽が背中に生えてるとか……」
「女で、少女で、青年で、天使なの?」
「……会った人が何人かいてね。で、全員言ってることが違うんですって」
「みんな違う吸血鬼さんに会ったとか」
「可能性は低いわね。だって、今この場に漂ってる気配はどう考えても一人だもの」

吸血鬼には、見つめた相手の五感を狂わせる能力が存在し、その力は吸血鬼の身体の内をめぐる、いわば第二の血液のようなものであり、高い治癒能力や身体能力もこの力が強く影響している。
普通の人間に感じ取ることはできないが、吸血鬼に関わる者や同族であった時には、時としてその『気』を感じ取れる場合がある。
もちろん、それは強ければ強いほど気がつきやすい。
影響されやすい体質だと、漂っている力によって見つめられたわけでもないのに勝手に暗示にかかってしまう者もいる。
そのため、吸血鬼を狩るハンターになれるのは大抵勘が鈍いものか沙耶や桂のように感じるが影響はないもののどちらかである。

「近いのは確かなんだけどなあ……全然どこにいるのかわかんないよ」
「尋常じゃない気配ね……わざと力を垂れ流してるのかもしれないわ、嫌味ったらしい」
「そんなことする意味あるの?」
「挑発してるのよ、私達を」
「うわあ」

「私の一番嫌いな手だわ。見てなさい、今にその首しょっぴいてあげる――いけ好かない吸血鬼」


作品名:Under the Rose 作家名:桜沢 小鈴