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サイコシリアル [2]

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連続殺人魔 斬島猟木 4



僕は、家から少し歩いた所にいた。
隣には、僕には全くと言っていい程似ていない美少女が一人。
巷では有名な美少女。
そして、僕ら二人の前に佇むのは連続殺人魔、斬島猟木。かっこよく言えば、シリアルキラーだ。
この状況でかっこよく言う必要なんてないのだけれど。
作戦会議から二日目。とうとう僕らの前に斬島が現れたのだ。堂々と威圧的に。いや、早く殺したくて堪らないという表情をしている。
疼き、衝動を抑えているといった感じ。
けれど慎重に事を進めなければいけない。言葉を選ばなければいけない。
若干十八歳にして、最初の死亡フラグ。
たまったもんじゃない。死ぬ気なんて更々ない。
「ひゃはっ。やっと殺せるヨ。早く断末魔を響かせておくれヨ」
斬島は笑いながら言った。獲物を目の前にした肉食動物さながらに。
斬島の右手にあるのは、相変わらず鉈一本。
他にはない。体の何処かに隠しているという可能性はまずないだろう。相手は正真正銘の精神病質のサイコパス。保身を行う訳がない。戦闘マニアでもなければ、軍事マニアでもない。ただの連続殺人魔。
計画性なんてないだろう。断定は出来ないが、確信はある。
所謂、勘というやつだ。
「んー、どっちから殺そうかな。兄の死を目撃する妹、というシチュエーションも楽しそうだけど、ありきたりだよネ。この場合、最も楽しそうなのは兄と妹の殺し合いなんだけどネ。そうもいかないだろ? んー、迷っちゃうヨ」
斬島は一人でぶつぶつと呟いている。まるで僕たちが視界の外にいるかのように。
「あっ、いいこと思い付いた。地球温暖化が進んでいることだし、植木をしよう。植木ならぬ植人かな? 君たち二人をバラバラに解体して、そこら辺の民家に植えよう。そして、僕も民家の住人と一緒に楽しめばいいんだ。肥料は脳味噌あたりがいいのかなー? あ、でもでも、剥製にして学校の理科室に送りつけるのもいいかな? 素晴らしい教材になりそうだしネ」
やはり異常だ。尋常な僕たちからすれば、とてもじゃないが尋常じゃない。
明らかに狂っている。
一つ断っておくが、斬島には悪意がないのだ。憎悪も罪悪感もなにもかも。むしろ斬島からすれば、今提示した殺し方は善意なのかもしれない。理にかなってはいないが、地球温暖化防止の為、理科室の教材為、これらを本気で言っているのだ。
大抵の犯罪は、悪意や憎悪から来るものだ。けれども斬島猟木の場合は違う。そこにはおおよそ悪意というものがない。要するに、善悪の区別がまるでない。だからこそ、狂っているのだ。
その時、耳元から戯贈の声が聞こえてきた。
作品名:サイコシリアル [2] 作家名:たし