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陰陽戦記TAKERU 後編

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 俺は家に帰ってくると丁度美和さんも帰って来ていて白虎の事を話した。
「そうですか、白虎が……」
「美和さんはどう思う?」
 正直あいつのいつものおふざけであって欲しいと思ってる、
 しかし帰ってきた答えは麒麟と同じだった。
「白虎は風の運んでくる気配を感じ取ったに違いありません。あの子は嘘だけは言いませんから……」
『私達の中で一番気配に敏感なのは白虎だからね』
 すると美和さんの肩に真紅の羽毛の鳥が止まった。こいつは朱雀だ。
「まさか鬼とか言わないよな?」
『暗黒天帝は滅んだのよ、それは無いわ』
 確かにオレは奴を倒してそれ以来鬼による事件は消えてなくなった。
 だが聖獣達は暗黒天帝に匹敵するほどの胸騒ぎがすると言うのだ。
「また戦いが始まるのかなぁ?」
 正直それだけはゴメンだぜ、受験もあるし、何度死に掛かった事か…… 
 しかしその願いは虚しく破られる事になった。突然ポケットの中の携帯電話が鳴り響くと電話の相手は桐生さんだった。
『武君か?』
「どうしたんスか?」
 この人が電話なんて珍しいな、結局みんなに会っちまったぜ。まぁ、この人は声だけだけどな。
『武君、今すぐテレビを着けてくれ』
「はぁ? テレビ?」
『こっちとはチャンネルが違うだろうけど、多分やってるはずだ』
 丁度居間なのでテレビはある、リモコンを手に取りスイッチを入れる、
 この時間はニュースばかりであんまり面白いのはやってない、ただチャンネルを回していると突然俺の指が止まった。
「なっ?」
 テレビに写っていた光景を見て俺は言葉を失った。
 何と電柱や建物が飴細工と言うか美術館に飾られてるオブジェのようにグニャグニャに曲がっていた。
『これって、鬼の仕業だと思うかい?』
「まさか、鬼はもう出ないって……」
『実は今日だけじゃ無い、ここ最近不思議な事が関西で起きているんだ』
「えっ?」
 京都では謎のがけ崩れ、奈良では強力な旋風と供に車が転倒、岐阜では配送中の小学校の給食を運んでいた車の荷台が突然消えてしまったり、名古屋では暴動が起こったりと彼方此方で起こっていると言う。
『しかもどんどん関東に近づいてる…… 偶然だと思うかい?』
「そう言えば…… 白虎が変な事を言ってました。西の方で空気がおかしいって……」
 すると桐生さんは黙り込んでしまった。
「桐生さん?」
『武君…… もしかしたらまたとんでもない事が起こるかもしれない』
「……桐生さんまで」
『暗黒天帝並に厄介な相手と言うのは間違いないだろう、だが問題はオレがそっちにいけないと言う事だ』
 そう言えばこの人別の町にいるんだよな、確か群馬だっけ?
『少なくとも冬休みにまではそっちにいけそうにない、もし戦いになったらオレの分まで頑張ってくれ』
 それだけ言うと桐生さんは電話を切った。
「……本当にまた始まんのかよ?」
 俺は携帯を切った。