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風はつめたいけどあたたかい春。

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僕は先ほどの歩調のままで大学のサークル棟に向かおうと角を曲がった所で出会いがしらに誰かとぶつかった。
突然のことで、僕は尻もちをついた。
ぶつかってきた「誰か」に悪態をつこうと「誰か」の方を見ると、そこには僕と同じように尻もちをついいる女性がいた。違うのは彼女は泣いていた。
よくよく見ると、彼女は同じ水泳サークルで同じ文学部日本史学専攻の大江雪香だった。
・・・・・・僕が悪いんだろうか。
確かに歩くというよりは半ば走っているような状態だったが、泣くほど痛かったのだろうか。
「・・・・・・あの、大江さん? 痛かった? ごめんね」
悪態をつこうという態度はどこへいったか、僕は立ち上がり大江さんに歩み寄り手を差し出す。
すると大江さんは僕に大声で泣きながら抱きついてきた。
「え、あの・・・・・・え?」
女性に抱きつかれたことなんて無かった僕は慌てふためいた。
そして大江さんが泣いていて、さらに慌てた。
どうすればいいんだ。
しばらく何もできずにいて周りを見渡すと、怪しげな眼で見られていた。
おそらく女性を泣かせている男だと思われているのだろう。
頭がおかしくなりそうだ。大江さんには抱きつかれるし、周りには怪しげな眼で見られるし、単位は落とすし。
「あの・・・・・・大江さん!」
訳が分からなくなった僕は、抱きついていた大江さんの両肩を掴んで僕から引き離して言った。
「ベンチに行って少し落ち着きましょう」
僕は大江さんの手を引いて、近くにあったベンチまで連れて行った。