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律姫 -ritsuki-
律姫 -ritsuki-
novelistID. 8669
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夢見る明日より 確かないまを

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14

「・・・ぁっ・・」
胸の突起を弾かれて、声が漏れる。
そうすると調子に乗った手の動きがますます激しくなった。
両方を同時に弄り回されると身をよじるくらいの快感がかけめぐる。
「・・はっ・・ぁ・・・やぁ・・・っ!!」
声なんかもうとっくに抑えられなくなってた。
何か刺激を与えられる度に唇から声が漏れる。
下のほうでもぞもぞと何かが動いた。
腿が足の間に押し付けられて、上下に動く。
「・・・はぁ・・・ぁ・・・」
わきあがる快感を押さえきれずに、こすられた箇所がどんどん熱をもっていくのがわかる。
手でそこをなでられると、もう声を抑えることなんでできなかった。
口の中で、早く、とつぶやく。
カチャ、とベルトが外される音がしたのと同時に、ドンドン、と扉を叩く音がした。
『司!いるのか!?』
遠くから孝志の声が聞こえた気がした。
『司!いるなら返事しろ!』
空耳なんかじゃない・・・。
突然、我に返る。

・・・なんてことを・・・!

熱くなってた体は急に冷めて、霞がかってた思考回路もはっきりした。
次のことを考えるまでにどのくらいの時間がかかったのかわからない。
どうしよう、ってそればっかりが先にたって、パニック状態。
「もうすこし、夢を見せてあげたかったのになあ」
司の目隠しに使っていたネクタイをはずして、言った。
「どうする?お迎えがきちゃったね」
何も返事ができなかった。
どうすればいいのか、わからなかった。
孝志に会わす顔がない・・・。
体が震え始める。
「ここにいることなんて黙ってればわからないよ。そして無論、君が声を出さなければね」
囁かれた。
その間も扉を叩く音はやまない。
どうすればいいのか、どうするのがいいのか、皆目検討もつかなかった。
「何も考えられない?」
その問いかけにも返事はできなかった。
「何も考えなくていい」
髪をかきあげられた。ゆっくりと手が頬を滑る。
「ここにいればいいよ。後で家に帰ってから、『先に帰ることメールするの忘れてた』って言って彼に謝れば、それで問題ないんじゃない?」
耳元で囁かれる、悪魔のように甘美な囁き。
「クラスの友達と帰りにちょっと遊びに行く用事があったんだ、って。そう言えば疑わないよ。それで僕ともこれっきり。岡本君にも心配をかけずに済む。それが一番平和だと思わない?」
もうそれ以外選択肢なんて思いつかなかった。
耳を両手でふさがれて、キスをされた。
抵抗をするわけでもなく、それを受けるわけでもなく、ただされるがまま、身を任せていた。
顔が離れて、耳にある手を離されると、もう扉を叩く音はしなかった。孝志の声も。
もう、諦めて帰ったのかな・・・。
そう思ったとき、外からまた話し声がした。
その次には、鍵をあける音。
まさか、と思う。
その予想は外れなかった。

「司!」
その声には答えられなかった。
孝志の顔が見れなかったから。
ただ、下を向いて、唇を噛むだけ。
足音は近づいてきて、抱きしめられた。
孝志の体温を感じながら、腕のネクタイが解かれる。
「司、ごめんな・・・」
搾り出すようなこんな孝志の声を初めて聞いた。
「いいところだったのに、残念だね」
小沢が言った。
次の瞬間に暖かさは消えて、孝志が小沢につかみかかってるのを見る。
今までに見たことないような鋭い目をして、右手はこぶしを握ってた。
「校内暴力はよくないと思うけど」
掴みかかられてもなお余裕を崩さない態度に右手が動いた。
柔道部が人をなぐったりしたら、大変なことになる・・。
「孝志!ダメだ!」
右ストレートが小沢に当たる直前に止まった。
いや、止められた。
「本当にやめとけよ。柔道部が暴力沙汰なんて起こしたらどうなるかわからないわけじゃないだろ?」
行田が孝志の右手を掴んでいた。
「でも・・・」
掴んだ胸座は話さないままそう言う。
「とりあえず、離せ。ここは俺がなんとかしてやる」
行田がそう言うと素直に左手を離した。
「お前は松下といろよ」
やっと我に返った孝志が、司へと目線を移す。
司が自分を抱きしめるようにして、少し震えている。
「司、大丈夫か」
落ちてるブレザーを拾って司の肩へかけた。
「・・・大丈夫、ありがと」
それでもまだ体は震えていて、見ていられなくなって肩を抱いた。