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CROSS 第8話 『758革命』

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 隊員の一人が近くにいた国会議員をレーザー弾でぶっ飛ばした…
…。射命丸は息を飲んだ。総理大臣の目には、殺気あふれるヘーゲ
ルの顔のみが映っていた……。
「困りますね、総理大臣。「はい、わかりました」と快く言ってい
 ただかないと」
ヘーゲルは静かにそう言った。議事室内が静まり返った。そんな中、
射命丸がゴホンと咳こんだ。そして、おそるおそるヘーゲルに、
「あの、CROSSの隊長さんは、今どこにいらっしゃるんでしょ
 うか?」
そう尋ねた。今すぐここから立ち去りたそうだった……。
「隊長なら特務艦のブリッジだと思いますよ」
ヘーゲルは射命丸をじっと見てからそう答えた。
「あ、ありがとうございました!!! それじゃ、失礼します!」
射命丸はそう言い残すと、一目散に議事室から出ていった…
…。射命丸が去った後、ヘーゲルは、
「さて、総理大臣。我々の要求を快く受けいれてくれますよね?」



 射命丸は、国会議事堂から飛び出すと、うまく風を操って、皇居
の真上に浮かぶ特務艦に向かって飛んでいった。すでに日は西に傾
きかけており、空がオレンジ色に染まり始めていた。
 官庁街の庁舎の屋上には、CROSSの軍旗がはためいていて、
警視庁の庁舎にも軍旗が掲揚されようとしていた。軍旗の近くには、
佐世保と上社がおり、空を飛んでる射命丸を眺めていた。

 射命丸は特務艦に着くと、フロントガラスからブリッジの中をの
ぞきこんだ。
 ブリッジは宴会騒ぎで、誰も射命丸に気をとめなかった。射命丸
は目をこらして山口を探していたが、いないことがわかると、どこ
にいるのかと考えこんだ。
「隊長なら、村山さんのところだよ!」
突然、フロントガラスの上から声が聞こえ、射命丸は慌てた。
 ブリッジの屋根に当たる部分に、ウィルが寝転がっていた。手に
は、スコッチのビンがあった。
「村山さんの家だよ。確か南麻布だったかな?」
「あ、ありがとうございます!!!」
射命丸はそう言うと、特務艦から離れていった。

 射命丸は山口がいる村山の家に向かって飛んでいた。下はまだ混乱状態になっていた。それを写真に収めようと、射命丸は進路を変更した。
 渋谷駅の前には、たくさんの人々が避難していた。交通がマヒし、行き場を失った人々が、ケータイが使用できるようになったかを確認していたり、ビルの壁面にある大型テレビを見たりしていた。しかし、テレビ画面は、『しばらくお待ちください』の文字が出ているだけだった……。電話やインターネットの回線がパンク状態になっているらしく、ケータイ依存症らしき人が、イライラしていた……。
 また、帰宅困難者たちがぞろぞろと歩道や車道を歩いていた。しかし、誘導などをしてくれる警察官が一人もおらず、将棋倒しが起きたりしていた。
「これは向こう一週間は、ネタに困ることはなさそうね」
射命丸は写真を撮りながら、独り言をつぶやいた。