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七不思議解明部

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1つ目の七不思議


校庭に来た・・・は、いいんだけど・・・。
実際どこを探せっていうんだ??
校庭と行っても、校庭には用具倉庫とかもあるわけで。
そこも探さないといけないってことか??
「ねぇ悠ちゃん・・・どうすんの??」
「どうするっって言っても・・・校庭に現れる女の子・・・としか不明なわけだし」
なんの手がかりもないまま探し出せっていうほうが無理に決まってる。
せめて少しでも範囲を絞れればいいんだけど・・・。
そういえば・・・授業中の小さい女の子。
あの子がいた場所って確か朝礼台の前辺りだったよな・・・。
グラウンドで走っていた生徒をジッと見つめていたっけ・・・。
そこに行けば何か分かるんじゃないかな。
俺は小走りで朝礼台の前へ走り出す。
後ろからは知里の慌てて追いかけてきている足音が聞こえる。
女の子がいたであろう位置までたどり着く・・・が。
特にこれといったものもなく、普段どおりの校庭があるだけ。
やっぱりあの女の子は気のせいだったのか・・・。
きっと七不思議解明部なんかに入部させられたから参ってたんだ。
俺は自分にそう言い聞かせてゆっくりと後ろを振り向く。
そこで俺はそれを再び目の当たりにしてしまったのだ。
そう・・・探していた女の子。
体育の授業を見ていた時と同じような目で俺を見ている。
「どうしたの??悠ちゃ・・・っ!!???」
知里が俺と同じ方向を見る。
知里の目にもその女の子が映っているのだろうか。
俺たち3人は互いにジーッと見つめ合っているだけ。
女の子の瞳に光はなく、希望も何もなくしたような目をしている。
「ねぇ・・・今お兄ちゃんたちは幸せ・・・??」
女の子が急に声を発してくる。
今、俺たちが幸せ??一体どういう意味で聞いてるんだ??
「どうして黙っているの??」
1回口を開いた途端に淡々と喋り続ける。
ここはとりあえずこの子の質問に答えておこう。
「う〜ん・・・普通かな??幸せでもないし、不幸でもない」
「幸せじゃないの??」
「ま、まぁ・・・どうしてそんな事聞くんだ??」
「・・・」
女の子は黙ってしまった。
すると後ろを向いてゆっくりと歩き出してしまう。
「お、おい!!」
俺が声をかけても女の子は止まってくれない。
「ねぇ悠ちゃん・・・あの子が腰に巻いてるのってなんだろう・・・」
俺の後ろから知里が疑問をぶつけてくる。
確かに腰に何かを巻いている・・・。
あれは・・・防災頭巾か・・・??
でもなんで腰に防災頭巾なんか・・・いつも持ち歩いてたってことか??
だとすると何のために持ち歩いてたんだろうか・・・。
「なぁ知里・・・防災頭巾で思い浮かぶことってないか??」
「防災頭巾・・・って言ったらやっぱり避難訓練とか・・・」
やっぱそんなもんだよな・・・しかしあの女の子は・・・。
俺はその後姿を見つめているとゆっくりと姿を消す。
消えたっ・・・!?いやいや、そんなバカな・・・。
俺はキョロキョロと周りを見渡す。
しかし、女の子の姿は本当になかった。
じゃあ・・・本当に消えたのか・・・??あの子・・・幽霊なのか??
「あっ・・・そういえば・・・」
知里が何かを思い出したように声を出す。
「どうしたんだ??」
「昔おばあちゃんから聞いたんだけど・・・この学校の隣の穴って防空壕だったみたいだよ」
防空壕・・・防災頭巾・・・この2つで出る答えと言ったら・・・。
「あの子・・・戦争で死んだ女の子かもしれない・・・」
それなら・・・さっきの質問にも頷ける。
日本では戦争がなくなった今の時代にいるくせに・・・。
あの子がいた時代はもっと辛くて苦しくて・・・。
そんな時代だったはずだ。この近くの防空壕・・・。
「知里、俺その穴に行って来るよ」
俺はそう言って校庭から走り出して門を出る。
しっかりとあの子の思いを受け止めなければいけないんだ・・・。
作品名:七不思議解明部 作家名:寺島涼牙