小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

トゥプラス

INDEX|39ページ/115ページ|

次のページ前のページ
 

御神木


 ショッピングの帰り道、本来の目的であった椛のことを調べるために四人は小春神社に来ていた。
 小さな境内に焼け焦げた楓の木はあった。そこに四人のよく知る人物が立っていた。
「こんにちは、奇遇ね」
 微笑を浮かべ挨拶をしたのは星川未空だった。しかし、彼女はそのまま神社を出て行こうとした。
「待ってください星川さん」
 悠樹が声をかけると未空はゆっくりと振り向き静かに言った。
「椛ちゃんの記憶、早く戻るといいわね」
 もう、誰も止めなかった。誰が止めても未空はいってしまう。不思議なことにそう誰もが思ったからだ。
 未空が去った後、綾乃は急に嫌な顔をした。
「星川さん用事があるって言ってなかった?」
 声に少し怒りがこもっている。
「もしかして独りで椛ちゃんのこと調べてたわけ? ちょっと協調性に欠けるんじゃないの!」
 頭に来ていた綾乃はみんなに同意を求めようと振り向いたのだが、そこでは椛が焼けた木の前に立ち、輝と悠樹がそれを見守っていた。それを見た綾乃は口を閉じることにした。
 椛は見る影も無くなった黒く焼け焦げた大木にそっと触れた。手を触れ、おでこを押し当てた。
 しばらくして綾乃が椛に声をかけた。
「何か思い出した?」
「ううん、何も……」
 哀しそうな表情でそう答えた椛。しかし、悠樹は口にはしなかったが、椛に何かを感じ取った。
 綾乃は残念そうな顔をしている。
「絶対神社と関係ありそうだったんだけど、違う神社なのかな?」
 そう言いながらも綾乃はこの神社に何か感じるものがあった。それは綾乃だけではない、ここに来た全員がそう感じていた――星川未空も。
「今日は買い物に付き合わされて疲れたから、もう家に帰るぞ」
 そう言って輝は荷物を大きく振りながら身体の向き変えると、さっさと神社を出ていってしまった。
「待ちなさいよ輝!」
 綾乃も走って輝の後を追って神社を出ていった。
 残された悠樹は椛の手を取り、椛の顔を見ると、
「記憶なんていつ戻るかわからないからな」
と呟いた。この言葉を無視するように椛は悠樹の手を引っ張って歩き出した。

 マンションに帰って来た輝は綾乃と別れた後、すぐに荷物を置き『疲れたからもう寝る』と言い残して部屋の中にこもってしまった。
 悠樹はダイニングを見回した。いつもは大抵ここで輝がごろごろとしながらテレビを見ているのだが、今日はいない。