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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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夜桜お蝶~艶劇乱舞~

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 しかし、お蝶が行方不明になった若い衆たちをどうこうしたという、一本の線には繋がっていない。まさかこの二人が多勢に無勢をどうにかできる、そこまでの想像をするのは突拍子すぎる。たとえそれが事実であってもだ。
 そのためにまだ親分には貫禄という余裕があった。
「なんにせよ、なにか知ってることには違えなさそうだ。おれが仏の顔をしてるうちに大人しく吐いてもらおうか」
「では、ここでお魅せしましょうかい?」
 お蝶はこの世のものとは思えない美貌で艶笑した。仏の笑みではない、それは魔性そのものだった。
 親分は怯えた。この感覚は誰かと似ている。そうだ、お紺と似ている。お蝶とお紺はどこか似ているのだ。
 じっとりと滲む汗を掻きながら、親分は子分たちが見ている手前、恐怖でおののくわけにはいかなかった。
「な……にを見せてくれるっていうんだ?」
 隠そうとしても隠し切れない怯えが言葉に出た。
 お蝶はそれに気付いてされに嗾[ケシカ]ける。
「昨晩、親分さんの子分がどうなったのか、ここで再現しましょうかと、言ってるんでやすよ」
 生唾を飲み込む音がそこら中からした。
 余裕があれば、恐ろしさ半分、興味半分で見たいと思うかもしれないが、ここにいる誰もが見たくないと思った。それがなんであるかわからずとも、見たくないと本能的に危機を感じたのだ。
 なにも言わない周りの野郎どもに、お蝶はさらに言う。
「どうです? 見たくはありやせんか?」
 親分は瞬きもせずに固まっている。
 今日は夏のような季候だというのに、この場は氷結してしまったように冷える。
 お蝶はあくまで返事をまった。この時間がとても甘美なものであるように、至極の表情で艶笑している。
 息遣いが聴こえてきそうなこの場に、ガタンと葛籠を下ろした音がした。
 黒子は葛籠を下ろして、その横に正座をした。いつもで葛籠を開くことができる。
 親分の片足が地面を擦りながら引かれた。その足は爪先から酷く震えている。お蝶はもちろん見逃していない。
「このままでは埒が明きませんぜ、親分さん?」
 もう親分に言葉を返す力はなかった。
 口をパクパク動かし、今にも泡を噴いて気絶しそうだ。
 お蝶が一歩、親分に詰め寄った。