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ハロウィンの夜の殺人

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11月 15日 暴かれた犯人


犯行現場であるダンス・ホールに再び一同は集まった。
ダナエを含む容疑者達も集められた。
「さあ、それでは真犯人を宣言してもらいましょうか?」
警部が挑戦的に言った。
「分かりました。宣言します。ダナエ・スターシャ、あなたが犯人です」
フローラがステッキでダナエを示した。
「違うわ!私じゃない!」
ダナエは悲痛な叫びを上げる。
「それじゃあ警察署で取り調べを行いましょう」
警官たちがダナエを連行しようとした。
「待ってください」
それをフローラが呼びとめた。
「何ですか?まだ犯人がいると言うのですか?」
「いいえ。ですが彼の推理も聞きたいのです」
フローラがドランを示した。
「お遊びなら私たち抜きでやっていただきたい。では」
「待ってくださいよ、警部さん。この場にいるとまずいことでもあるんですか?」
フローラの言葉で警部も残らざる得なくなった。
「さあ、ドラン。あなたの推理を聞かせてもらえるかしら?」
フローラの言葉にうなずくとドランは深呼吸をしてから話し始めた。
「悪いな。別にお前に恨みがあるわけじゃない。だが俺は言わなくちゃいけないんだアマンダ」
アマンダがどきっとした様な表情を浮かべた。
それをフローラは笑みを浮かべながら見つめている。
「待ってよ!私にはアリバイが……」
「伝票なんかあてにならない。そんなもの第三者が現れて渡せばいいんだからな」
「くっ……」
アマンダは反論出来ずに黙ってしまう。
「まずお前は第二校舎から姿を消した。そしてダンス・ホールに向かいミッシェルを射殺した。そしてその拳銃には俺やダナエの指紋を付け現場に残す。そして裏口から逃走した。だがここで思わぬミスをしてしまったな」
「何よミスって……」
「この時計お前のだろ?」
ドランは金色の腕時計を掲げる。
「……!」
「裏口に向かう途中の狭い通路で見つけた、相当焦ってたんだろうな、あの狭い通路じゃ焦りは禁物だぜ?」
アマンダは答えることが出来ない。
「これでピースがそろった。アマンダ、お前が犯人だ」
そこで今まで不安そうにしていたアマンダの表情が変わった。
「他に証拠があるのかしら?」
「なっ……」
突然の反論にドランは答えることが出来ない。
あの後これ以上の証拠を見つけることは出来なかった。
「その時計、私が楽器を買って来た時にダンス・ホールに行くための近道として裏口を通った時に落としたものよ」
アマンダが強気に言った。
「ドランさんそれで終わりですかな?」
警部が呆れたように言った。
「ドラン、よくそこまで推理したわね」
そこでフローラが言った。
「ミス・アマンダ。証拠ならたくさんありますわよ」
突然のフローラの登場に現場は呆然となった。
「例えばあなたがミス・ミッシェルを憎んでいたという証拠」
そう言うとフローラはバックから砕かれたペンダントを取り出した。
「このペンダントはミス・ミッシェルの物です。彼女の指紋も確認されています。ちなみにこのペンダントにはミス・ミッシェルがミスター・スミスとショッピングに行った際に撮った写真が入れられていました」
フローラはさらにビリビリに破かれた写真を取り出した。
「これらの物は皆あなたの家のゴミ箱から発見しました」
「なんであんたが持ってるのよ!私はあんたを家に入れたことなんて一度もないわ!勝手に入って私の家を荒らしたのね!不法侵入だわ!警部この女こそ犯罪者です!」
「あらミス・アマンダ。これのこと忘れてないかしら?」
フローラが自由捜査許可証をアマンダに見せた。
「私には許されてるのよ……不法侵入とやらがね」
アマンダは怒りをあらわにした表情でフローラを睨みつけた。
「そしてあなたの犯行の引き金となった物……」
フローラは一枚の手紙を取り出した。
「ミス・ミッシェルがあなたに宛てた手紙です。これはあなたの机の上から発見しました。読みあげましょうか?」
フローラは意地悪く笑うと声を上げて読み始めた。
「スミスは私の物よ。誰にも手出しはさせない。あんたにもダナエにも。私の邪魔をするんだったら容赦なく潰す。ちゃんと手はあるのよ。あんたの秘密を私は知っている、嘘だと疑うなら今度会った時にゆっくり話しましょう。もしあんたが私の警告を無視して私の邪魔をするなら私はあんたの秘密をぶちまける、そしたらあんたはどうなるのかしらね?スミスはもちろんみんなあんたを避けるでしょうね。それどころか今後のあんたの人生も危なくなるでしょうね。それが嫌なら誓いなさい、スミスへの愛を捨てると、私の言うことは聞くと。いい返事を待ってるわ。親愛なるアマンダへ。ミッシェル・コーネリアより」
フローラが手紙を読み終えた。
「あなたの秘密が何なのかは聞きません、そして興味もありません」
「そうだ……思い出したわ。そうだったのね」
「何がだよ……?」
ドランがクレアに尋ねる。
「ダンス・パーティーの夜私は誰かが言い争っているのを聞いたわ。女の人の声だった。そうよ、あれはミッシェルとアマンダが言い争っていたんだわ!」
「クレアちゃん大事な情報をありがとう」
情報を聞きつけたフローラが微笑を浮かべて言った。
フローラに教えたつもりのなかったクレアは悔しそうに顔をしかめた。
「これでますますあなたが犯人ですね。そしてこれがとどめです」
フローラが取り出したのは一冊の本だった。
「これはあなたの日記です」
アマンダは絶望した様にくず折れた。
「この日記にはあなたの筆跡で犯行の様子がしっかりと記されています。犯行までの経路もあなたの共犯者の名前もね。ですがあえて私は今は言いません。きちんとした証拠を提示してから宣言させてもらいます。さて共犯者の人……Xと呼ばせてもらいますわね。不思議ですよね、あなたは事件を解決する立場の人間のはずなのに犯罪を犯した……いや犯罪をさせたと言った方がいいでしょうか。あなたはドランやミス・ダナエを犯人に仕立て上げようと必死でしたね。事件の資料を焼却したという関係者の証言もあります。何よりの証拠がこの日記ですね。あなたのことについてたくさん書いてありますよ。例えば……」
「貴様……!」
Xと呼ばれたその人物は怒りを露にしてアマンダに飛びかかろうとした。
しかしフローラが素早い動きで足を払いその人物は床に倒れこんだ。
「くっ……!」
悔しそうに立ち上がろうとするその人物の目の前にフローラのステッキが突き出された。
「本性を現しましたね。では以上の証拠によりあなたを犯人と宣言します……フィリップ警部」

「なんとか解決したな。だけどまさか警部が犯人だとはな」
ドランが夕日を眺めながら言った。
ドランとクレアは川のほとりに腰かけていた。
「何を言ってるの。警部は最初から怪しかったじゃない」
背後からフローラの声が聞こえた。
「なんだお前も来たのか」
「あら恩人にその態度はないんじゃない?」
フローラがドランの隣に腰掛ける。
「だけど間違えたじゃない」
クレアが皮肉を言った。
「あら、私がどこでミスを犯したと言うの?」
作品名:ハロウィンの夜の殺人 作家名:逢坂愛発