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CROSS 第6話 『死守』

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   ダダダダダ!!!

 そのとき、塹壕の正面から大きく連続した銃声が、機関砲のような弾とともに響いてきた。その曳光弾付きの銃弾は、塹壕のすぐ上を通過していった。
 すると、ウィルがつけている通信機のヘッドホンから轟音が鳴り響いてきた。ウィルは驚いて、ヘッドホンを地面に放り投げた。地面に落ちてからもヘッドホンからは大きな音がしていた。だが、
「……こ、こちら守備隊! いきなりそちらの方向から機関砲の砲弾が飛んできました!!! 少尉含む大勢の兵士が死に、負傷者がたくさん出ています! 応援をお願いします!!!」
守備隊の兵士の声がした。その後ろでは叫び声がしていた……。

   ダダダダダ!!!

 また同じ音がしたかと思うと、山口たちの頭上をさっきと同じ「物」が通り過ぎていく。ただ先ほどよりは音が大きくなっていた……。
「ウワァァァァァ!!!」
通信機のヘッドホンからこっちに向かって叫んでいた兵士の聞くにたえない大きな叫び声が響いてきた……。そして、通信機の向こうは静かになった……。
 山口たちがいる塹壕からは、守備隊がいる魔こう炉のほうは暗くてよく見えなかったが、深刻な状況に陥っていることぐらいはわかる。山口は、呆然とヘッドホンを見つめているウィルやガリアや椿や佐世保と顔を見合わせた。
 そのとき、正面から地響きとともに何か重い物が歩く音が聞こえてきた。山口たちは、その音がする正面を見る。



 塹壕から100メートルほど離れたところに、一体のモビルスーツが暗闇の中で立っていた……。そのモビルスーツは全体的に黒系の色をしており、右手には機関砲レベルの口径があるモビルスーツ用のマシンガンを持っていた。腰の左部分には専用の大きな剣が不気味に光っていた。肩には漢字で「神羅」と記されていた。

「あのモビルスーツは、ザフトが使用している『ジン』ですよ! 勝てませんよ!」
ガリアが山口に叫ぶ。山口はため息をついた後、
「パイロットはコーディネーターじゃなくて、神羅兵なんだぞ。機体の力を100%出すことはできないだろうから、やろうと思えばやれる」
「うまくいきますかね……」
ガリアがそうつぶやいた直後、敵モビルスーツはマシンガンを塹壕に向かって撃ってきた。一斉に山口たちは塹壕の中に伏せる。その銃弾は塹壕のすぐ手前の位置に着弾した。砂ぼこりが塹壕の中に漂う。
「今のは威嚇でしょう。次は塹壕を直接撃ってきますよ!」
ウィルが通信機から砂を払い落としながら言った。
「よし。一旦、塹壕の退避所に避難しよう!」
そう言うと山口は胸の小型通信機を使って退避命令を出した。塹壕の向こうから、敵モビルスーツがマシンガンの弾をリロードする金属音が聞こえてきた……。