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冒険倶楽部活動ファイル

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エピローグ


 それからが本当に大変だった。
 春休みを終えて中学になってからも私は転校続きの相変わらずの生活だった。
 でも1つだけ変わった事がある、それはどこの学校に行っても普通に友達がたくさんできた事だった。
 確かに分かれなきゃならない時に寂しいって気持ちはあるし、何人が私を覚えているかも分からない、
 でも日本中を転校すると言う事は様々な町、様々な学校、様々な人達と出会えると言う事で、友情を育み親しむ事ができと言う事だった。その気になれば日本中の人達と友達になれると言う意味だった。
 こんな事にどうしてもっと早く気付けなかったのかと後になって後悔した。

それから月日が経ち、大学を卒業した私はフェリーで星上島を目指していた。
『本船は、間もなく星上島に到着します』
 アナウンスの声が私の耳に入った。
「帰って来たんだ」
 私は時間つぶしの為に読んでいた本に詩織を挟んだ。
 その本は製本化された『冒険倶楽部活動ファイル』だった。
 中学に入ると真っ先に文芸部に入った。
 転校してからも強制入部の学校には必ず文芸部に入り、小説作りのノウハウを学んだ。
 そして高校3年の時にある大賞にこの作品を応募して入選、私は作家になると言う願いを叶えた。
 私は傍らに置いてあった荷物の中に本を仕舞うとそれを持って表に出た。
 ワンピースの裾が潮風でなびき、白い帽子が飛ばないように右手で抑える、
 そして左手でフェリーの手摺をつかみながら身を乗り出すと水平線の彼方にまだ小さいが星上島があった。
「懐かしいな…… みんな、私の事覚えてるかな?」
 正直心配だった。
 もちろん時間の経過でみんなが私の事を忘れていても仕方が無い、
 だけど不安を完全に拭いさる事はできなかった。
 転校後はネット・ゲームでしばらく会話をしていた。
 海外に行ってもインターネットはできるので秀君も普通にプレイできた。
クエストも上級レベルとなり、キャラクターもクラスチェンジして私は僧侶から法皇、秀君は盗賊から滅却者、羽須美ちゃんは魔道士から賢者、功治君は武闘家から拳聖、龍太郎君は聖騎士、舞加奈ちゃんはガンナーから狙撃者、鯨那君は海賊から海賊王になった。
 そして最終クエストであるラスボスの魔王『アビス』を倒して世界を救い、全てのクエストをクリアして記念トロフィーが送られた。
 しかしそれ以来みんなとは会って無い、受験や勉強で忙しいんだろう、鯨那君は風の噂じゃお父さんの後を継いで社長になったらしい、ちょっと心配だけど基本的に明るいから楽しい社長になってるだろう、
作品名:冒険倶楽部活動ファイル 作家名:kazuyuki