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恋の掟は冬の空

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いい奴らで


デパートで買ってきたお惣菜をパックの入れ物からそれらしいお皿に並べて、ラップをして冷蔵庫の中に閉まってTVを見ながら、のんびりとしていた。
お腹は空いていたけど、あと1時間もなかったから何も食べないでいた。
10時過ぎたら、この部屋の電気を消して直美を待とうって考えていた。このままだと、外から部屋の電気がついてるのを見て彼女があわてるかもしれないし、それに、会ってビックリもさせたかった。
アロマのキャンドルは好きで買い置きがあったから、玄関に小さなキャンドルを1つとこの部屋に1つはつけながらにしようって考えていた。

「劉、いるのぉー・・」
インターホンが鳴ってビックリして玄関に出て行くと夏樹の声だった。
「どうしたのよ、なんか大場が変なことしたのか・・」
扉を開けて、目の前の夏樹にだった。
「あのー 大場はここにいますけど・・・」
ちょっと離れたところにいたらしかった。
夏樹に笑われていた。
「大場に、車出させるからさ、直美んとこに迎えに一緒にいこうよ」
「そうなんだって・・」
大場が呆れ顔だった。
「いや、いいよ遅いし、ここで待ってるからさ」
9時半を過ぎたはずだった。
「なんかさ、 夏樹がクリスマスプレゼントを直美に届けようかなぁ・・って言って聞かねーのよ。直美ちゃんのバイト先に、片足けんけんの柏倉を届けたいんだってさ」
うれしそうな顔で大場に言われていた。
「いいでしょ、一緒にいこうよぉ」
夏樹まで、なんか、笑顔まんまんだった。大場は飲んでないみたいだったけど夏樹は少し赤い顔をしていた。
「遠慮すんな、すぐそこだしな。あっという間だから」
ここから直美のバイト先までは車で5分もかからない距離だった。
「そっかぁ・・どうしようかなぁ・・」
「いいから、ぐずぐずしてねーで、早く上着とってこいよ、その格好じゃ寒いからさ・・」
部屋に戻って上着を取って玄関に戻ると、仲よさそうな二人だった。

「じゃぁ お言葉に甘えて・・」
「うん、行こうかぁ。大場は早足で歩いて車を回して来いよー寒いんだからさー」
マンションの玄関を出ながら夏樹が大場にだった。
「もうー なんでよー しょうがねーなぁー」
文句言いながらだたったけど、大場は早足で駐車場に向かっていくようだった。
「大場ぁー 考えたら直美のバイト先ってこっちだからここで待ってるから、回してきてぇ」
「うんもー まったくー」
離れた距離から大きな大場の声だった。
「いいのかぁ。大場と一緒にいかなくて・・」
「平気だってば、すぐそこだもん」
歩道のガードレールに一緒に腰をおろしながらだった。
「あ、かわいいね、それ・・」
首から下がっていたネックレスが街灯の光で夏樹の胸元で輝いていた。
「そう?」
「うん、綺麗だよ。大場のクリスマスプレゼントってこれかぁ・・」
「なんかさぁ・・・直美がよく下げてるクロスの綺麗なのあるでしょ・・良く、綺麗だねぇって私が言ってたからって・・同じの見つからないし、これも綺麗だったからって・・ぶっきらぼうに箱さしだすんだよねぇ、大場って・・」
「うん」
「でもさ、あいかわらず、好きとかきちんと言わないんだもん・・・」
笑うところじゃなかったけど、笑いそうになっていた。
「夢中で鍋を食いだしちゃうし・・」
「夏に言ったからいいと思ってんじゃないの、あいつ・・。夏樹から、好きになっちゃった・・って言っちゃえば」
「えー なんでよぉー そんなのやだよー」
「ま、いいけどさ」
俺も笑っていたけど、ちょっと酔っていた夏樹も一緒になって笑っていた。
綺麗なネックレスを指先で触りながらだった。ほんのりピンクの顔はかわいいものだった。

「お待たせー」
声とともに大場のワゴンが横付けになった。夏樹を前に乗せて、後ろに杖を片手で乗り込んだ。
「車って近くとめられたっけ・・駅前だよね、タクシーの車が待ってる横辺りでいいか・・」
「誰かが車の中にいれば平気なんじゃないかぁ」
横を向いて、夏樹だった。
「はぃはぃ 待ってればいいんですねぇー」
真っ直ぐ行って、右に曲がって踏み切りを渡るとすぐに経堂駅についていた。
「この辺でいいかぁ」
言いながら大場のワゴン車は左に寄って、ゆっくり停車していた。
「5分前かぁ、私、お店に顔出して、ここで待ってるって行ってくるね。劉はここで待っててよ。うーん、なんか大場ってじゃまだなぁ・・どっか行ってくる、あんた・・」
「どっかって何だよー」
「だってさぁー ここに直美連れてきて、大場もいたんじゃ、なんかなぁー違うでしょ、やっぱり・・」
「もぉー 細かいなぁー。じゃぁ、そこのコンビニにいるから呼びに来てよ」
「良いってば ここにいなよ」
それはあんまり悪いかなぁってほんとに思っていた。
「いいって、すぐじゃん」
夏樹に返事をされていた。
「じゃぁ行って来るね」
良いながらドアを閉めて20mぐらい先のケンタッキーに向かって歩き出していた。
「大場、ここに居てもいいからな」
「いいって、後でさ、夏樹うるさいの、やだもん 俺」
「そっかぁ 悪いなぁ・・あ、大場のプレゼントさっき俺見ちゃった。高かっただろ、あれ」
「えー 何の話だか・・」
とぼけてながらだったけど、顔はにやけていた。
「大場、あのさ、さっきからずっと言おうかって思ってたんだけど、お前ここんところに口紅が・・・」
「うそー 」
あわてて、口を手でぬぐっていた。
見て大笑いだった。
「ごめんごめん、うそ」
「てめー まったくー・・」
ワゴン車に大場のでかい声と俺の大きな笑い声がいっぱいだった。
大場も夏樹もほんとにいい奴だった。

作品名:恋の掟は冬の空 作家名:森脇劉生