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花園学園高等部二学年の乙女達

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それぞれの思考④



芳田咲は驚いていた。

覚悟はしてたがこうも女だらけとは!

しかも全員が全員このご時世にパーマも茶髪も一人もいなく、黒髪のいかにも真面目な姿でぴしりと座っているのだ。

そしてなんと言ってもこの女子特有のふわふわした空気!


焦った彼は「仲良くしてください」と言うはずだったのが「優しくしてください」に変わってしまったことにすら気付いていなかった。

…ただひたすら己の「異物感」を実感していただけ。


「…それじゃ、貴方の席はとりあえずあそこの空いている席ね。」

入江真由美はぴしりと言う。

いかにも時代錯誤な先生といった感じ。

(…前の学校なら完璧からかいの対象になってたな。)

彼は席につきながら、早くもホームシックに似た何かもの悲しい感情に襲われていた。

はぁと溜め息をついて前を見る。

彼の席は運悪く一番前だった。…おまけに教卓が目の前にある。
多分前の持ち主は転校か何かでこの席を去っていったんだろう。


…なんてついてない。



彼は全く気付いていなかった。

背中に送られる熱すぎる大量の視線たちに。

ひたすら呑気にこう考える。

(…これじゃ下手に女の子チェックもできないじゃないか。ひどい話だ。)


「それじゃ、芳田君は何かわからないことがあったら学級委員の小笠原さんに聞きなさい。小笠原…小笠原!」

「ひゃいっ」

声の先をおってみると、170センチくらいはある長身の美少女が間抜けな顔をしていた。

ちょうど今しがた目覚めたような…。

((…何だこいつは。))



二人は互いにそう思った。

((僕の…ハーレムが!!))

なんでこんな王子みたいなやからがいるんだ!


「小笠原朱美!学級委員がそんなことで貴方は恥ずかしくないのですか!!」

「あ、すみません…」

「全く…。貴方は特別生徒からの人望が厚いから学級委員に選んだというのに。その気持ちに応えないでどうするのです。…副委員!」

「はい。」



芳田咲は目を見開いた。

真っ黒なみつあみに白い肌…、氷のように冷たい瞳。

(…さっき、の…)

咲の心臓を何かが小さくちくっと突く。


「芳田君、悪いけど副委員の神沢を頼ってちょうだいね。彼女はしっかりしてるから。」

学級委員より人望はないけど。…とでも言いたいのかその後の台詞は呑み込まれた。
成程、クラス内での彼女はわりと地味な立ち位置にいそうな落ち着き様だ。

それなのに、咲はなぜか、一瞬先生に対してとても冷たい感情が一部の生徒から流れた様に感じた。

(…気のせいか?)

彼女はそんなに人望厚いタイプには見えない。
おそらく気のせいだろう。


咲はふっと視線を元に戻した。
先生ははきはきと一日の用件を伝える。

咲は適当に聞きながしつつも先程の学級委員について考えていた。

(小笠原…小笠原朱美か。まさか元女子高にこんな敵が待ち受けているなんてな。あの甘いマスクに長身じゃリアル百合もありえるぞ。なんてこった。)


あーあ、とかぶりをふっているうちに先生の話が終わる。
そしてその直後にチャイムがなった。

まるで機械のようなぴったりさだ。

「起立、礼。」



…全員しゃなりと礼をした。