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地球が消滅するとき

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 いつしか3人寄り添って眠りこんでいた。
 眠りから覚めつつある耳に時々聞こえてくる、コツコツという音。
 ハッ、として井伊さくらは上体を起こした。それにつられて石田翔太と榊原康男が横たわったまま、もぞもぞと動いた。
「ヒナが誕生するんよ」
とそっとささやいた。
 この谷に明るさはまだない。
 やがて「ピーッ、ピーッ」と大きく鳴く声が聞こえてきた。
「生まれた!」
 3人は立ち上がって、その方を見た。

 周りの様子がはっきりと識別できるころに、村長のノルベル・ンコイが階段を下って来た。
 一緒にアステル、いやアトランティデスのそばへ行った。
 
「これが賢者の石です。半分はここで使います。残りをお持ちください」
 石田翔太は小さな欠片を、木下コースケから預かっていた金属の筒にいれた。


 イトゥリの森には、20日の夜に帰りついた。

 死を悟ったらゾウに乗って行ける所まで行く。村からはできるだけ離れたところまでいかないと、獣たちが頻繁にやって来るようになるから。そのようにして、からだを『自然の存在』に捧げるのだという。
「ここに生きるものは、すべてが繋がっているからね」
 最後は骨も残らない。虫や微生物がすべてを分解してしまうからだ。
 死者を残して、ゾウは自分で帰ってくる、と言っていた。

 そのことが3人の頭の中をいっぱいにして、静かな帰途となった。


 カプセルハウスは、ここに残すことになっていた。まもなく、おおがかりな地質調査団がやって来るのだという。
 機械類をトラックに積み込んでカンパラへ。
 廃棄物の処分を大使館に引き受けてもらって、エンテベ空港から日本へ、大阪伊丹空港に全員無事に降り立つことができた。
作品名:地球が消滅するとき 作家名:健忘真実