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司令官は名古屋嬢 第2話 『大晦日の群像劇』

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第9章 悪魔「エコカー(笑)」



 悪魔は、展望室と頂上との間の高さまで登っていた。時々、悪魔は鼻歌に似た余裕気味の鳴き声を発していた。
 そんな悪魔の一番太い右腕に「バシュン!!!」という音とともにワイヤーがついた矢が突き刺さった。悪魔はゆっくりと刺さった矢を見た。
 すると、矢のワイヤーがピンッと張り、悪魔の右腕は後方に引っ張られ始めた。矢が突き刺さっている右腕の肉の一部が痛そうに引っ張られ、悪魔は小さなうめき声をあげた。そして、悪魔は登るのを一旦やめ、矢のワイヤーが伸びている方向を睨みつけた。
 守山が運転する一台の中京都軍の青いトヨタのプリウスが、矢のワイヤーをアクセルで引っ張っていた。
「さっさと落ちなさい!」
守山はそう言うと、さらにアクセルを踏みこんだ。タイヤからはうるさいスリップ音と黒い煙が出始めた。ワイヤーがつながっている車の前部分に取り付けられたバンパー(このプリウスは軍用車両に改造されています。)はグラグラと外れそうになっていた…
…。
 悪魔は矢についているワイヤーを思いっきり自分の方に引っ張った……。その途端、ワイヤーを引っ張っていたプリウスのバンパーが勢いよくぶっ飛んだ。バンパーは、公園にあったブルーシートでできた「家」に突っこみ、そのまま悪魔の方へ引っ張られていった……。
 守山が運転していたプリウスは、後ろに暴走し、なぜか上へ向かってとがって突き上がっているコンクリート製の「不思議なオブジェ」にぶつかって止まった……。
「もう最悪!」
守山は一人叫んだ。この元気なら彼女は大丈夫だろう……。
 悪魔はもう引っ張られないとわかると、矢が刺さったまま、そのまま再び登り始めた。

   キィ−−−−−ン!!!!!!

 その時、空から耳をつんざくような鋭いジェット音が聞こえてきた。その音はどんどん大きくなってきた。悪魔はまた登るのをやめ、音が響いてくる空を睨んだ。しかし、すぐに悪魔はうろたえ始めた。
「音と衝撃に備えろ!!! できる限り離れるか隠れろ!!!」
山口はその場にいた全員に叫ぶと、腹を押さえながらベンチの後ろに隠れた。すぐに兵士たちは近くの茂みやベンチなどに隠れ、大須は守山がいる車に乗りこみ、守山といっしょに頭を下げた。

   プシューーー−−!!!!!!

 発射音と推進音が聞こえてくる。悪魔はさらにうろたえ、逃げるためにそこから飛び降りようとしていた。だが、1歩遅かった……。

   ドドドドドォォォォォンンンンンドドドドド!!!!!!

 尾を引く不思議な響きのある爆発音と、三原色の光を放つ大爆発が起きた……。同時に強烈な爆風が発生し、公園中の木々が激しく左右に揺れる。まるで台風に吹かれているようだ。
 外にいた山口や兵士たちは、飛んでくる破片をうまく避けることができた。大須と守山が乗っているプリウスの防弾フロントガラスに金属片が突き刺さり、彼女たちを驚かせた。