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恋の掟は春の空

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ちょっぴり 怒られた



「もし、もし、柏倉です」
夜に電話する約束だったけれど、すぐのほうがいいかなって思って電話をかけていた。
「あら、劉ちゃん、さっきはありがとうね。お昼も一緒にすればよかったわねー」
直美のおかーさんだった。
「あのう 部屋なんですけど、1部屋空いてるそうです。明日からでもいいって叔父が言ってました」
ちょと、叔父のバカ笑いが顔が浮かんでいた。
「あらーよかったぁ。これで安心して、引越しできるわぁ。劉ちゃん、叔父さんにお礼の電話を入れたほうがいいかしら」
「いや、これから外出しちゃうって、さっき電話で言ってましたから」
電話なんかに叔父がでたら直美のおかーさんに何をいいだすかって、考えただけでもおそろしかった。
「で、あのうFAXで細かい住所とか間取りとか、簡単な仮契約書みたいのが来てるので、送ってもいいでしょうか」
叔父の話題は、あぶなっかしくて、なるべく避けたかった。
「あら、早いわねー。じゃぁ送ってね。劉ちゃん。番号は同じだからね、知ってるわよね」
「あ、はぃ大丈夫です。では1回切って送りますのでわからないことがあったら、電話ください。では切りますね。失礼しました」
「わるいわねーお願いしますねー」っておかーさんの声を聞きながら受話器を置いてFAXを流した。
直美いないのかぁって少し考えていた。

FAXを直美の家に流してから、「親戚の家に挨拶にいきなさい」って朝にお袋に言われていたのを思い出して、バイクに乗って、卒業の報告をしに近所の親戚まわりをすることにした。親父もお袋もいつもどおりに仕事をしているようで留守だったけれど、置手紙と一緒に親戚の家に持っていくお土産が玄関に置いてあった。

親戚の家を2軒まわって、家に戻ったのはもう6時半を過ぎていた。
玄関を入ると誰かとお袋が電話をしているようだった。
「・・・いいえ、こちらこそ、本当によろしくお願いします」
「いいえ、・・・そんなぁ」
「では、失礼いたします。・・・ご丁寧にどうも」
その声を聞きながら自分の部屋に入ると、電話を切ったお袋が部屋にやってきた。
「もう、恥ずかしいじゃないのよぉ、なんなのよ、直美さんのおかーさんからの電話だったんだから。なにも聞いてないからあせっちゃったわよ」
めずらしく、怒っているようだった。
「あ、帰ったら言おうと思ってたんだけど」
ウソだった。
「まったく、私はいいんだけど、直美ちゃん好きだから。でも、なにを言われてるかわからなくて、恥かいちゃったわよ」
「だーから、留守にしてたんだから、仕方ないじゃん。言えないでしょうが」
またまた、ごまかしていた。
「お引越しはいつにするんですか?って言ってたわよ。一緒の日がいいかしらって。どうするのーあんたー 来週の日曜日ですよって答えたけど」
「どうもこうも、直美のおかーさんが言う事だからね。いいんじゃないの、一緒でも。手伝いできるし、俺も」
「まったく、こういのだけは、しっかりしてるわよ、あんたは」
呆れた顔のお袋だった。
わざとらしく「ニィー」ってしかめっつらの顔をつくる俺だった。

「トラック、直美ちゃんの荷物も一緒に載せられるように高志さんに電話したほうがいいかしら」
高志さんは親父の1番下の兄弟で、隣町で運送屋さんをしていた。親父は6人兄弟の2番目で、俺の家は瓦屋だった。男ばかりの兄弟で、みんななにかの会社をやっていた。東京の叔父の孝広さんは親父のすぐ下の弟で、頭が親父にはあがらないらしかった。理由は良く知らなかったけれど。
「どうだろう、それは直美の家に聞いてみないと、夜にでも直美に聞いておくわ」
引越しも一緒なら楽なような、うーん、大騒動になりそうな・・ちょと不安だった。
「高志さんには、あとで 電話入れておくから。でもおとーさんには、誰が言うの。このこと・・」
「言っといてよ」
言うのはいやじゃなかったけれど、話が長くなりそうな予感がして面倒だった。
「面倒だわぁあ。でも直美ちゃんはかわいいわよねぇ。本当にうちは男ばっかりで・・・」って言いながら怒ってるような、うれしそうな顔で部屋を出て行った。

その夜の10時に直美に「一緒の日に引っ越そうね」って電話をかけた。

「一緒の部屋じゃなくて 残念ね、劉!」ってまた、からかわれた。

作品名:恋の掟は春の空 作家名:森脇劉生