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【過去作】私の青空2 プーチンクエスト【2000年(16歳)】

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第五話「夜明 Please Sweet Nightmare」


午前11時位だったろうか。西陣織さんの家に唐突にSATが入ってきた。
ゆっくりと、スローモーションでその時の光景が僕の脳裏に焼き付いている。
SATは壁を突き破って入ってくるとまず、『ブルガリア』の連中が使った物より幾許か高性能(最も僕は見た訳ではないが。推測)な煙幕を撒き散らした。当然、不意を突かれた僕らは咳き込み、視界は一瞬で霧とガスの中に包まれた。半径2cmすら何も見えない。そんな馬鹿な。
僕は織田裕二か?(ホワイトアウト)取り敢えず手探りで何かを掴む様な動作をしてもがいてみる。
しかし間も無く酸素を使えば使うだけ、息苦しくなる事に気付いた。パニクる、思い出せ。直前の状況。
確か、西陣織さんと葵ちゃんは一緒に居たはずだ。心配無い。あの二人は武装しているし。
椎本さんは奥の部屋。僕は・・・僕だけ独りぼっち?
と、その時不意に肩に誰かの手が乗っかった様な感触。「・・・西陣織さん?」振り向いた。
SATのおっさんと目が合った。「あ、おはようございます」殴った。


一、遠山西陣織 「裏切り者は誰だ?」

遠山西陣織は、喝道していた。
SATの連中がまさか突入してくるとは予見すらしていなかったからだ。
戦場では、瞬時の判断、それこそ瞬きする間の油断さえ命を失う事に繋がる。
西陣織は葵に対し再度喝道した。―――撃て。「お前のマグナムなら違法改造品だから機動隊の楯を無力化する。両手で確りと構えて、今度は外すな!早く撃て!」
葵は、西陣織の叱咤を聞いているのか、聞いていないのか、只引金に掛けた指は震えている。
「ちっ!」西陣織は何も言わずに葵からずしりと銃を引っ手繰ると、諸手を前方に構えて闇雲に、2、3発ぶっ放した。うぐう、と低い呻き声。続いてドサッと何か?崩れ落ちる音がした。
「こっちだ!」二人は素早く『像が踏んでも壊れたり壊れなかったりタンス』の裏に逃げ込む。
「西陣織先輩!」「今更チビッてんじゃねぇ!躊躇いは即死だ」「先輩、無理ですよ!SAT全員を相手にする気ですか!?数十人は下らないですよ!」「しかし、何だって突然何の前触れも無しに突入してきたんだ?向こうからこっちの様子を知る術は閉ざしたはずだ。と言う事は残る可能性は一つ。
アタシ達の中にスパイが居た」「えっ!?」「ちきしょう!誰がスパイかさえ解れば!」「・・・先輩」