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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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あかいくつ

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 梅雨どきの海は、空の色を映して灰色に見える。
 降り続く雨で、気分まで灰色になりそうな日。学校の帰り道、黒塗りの外車がすれ違いざま、泥水をはねた。
「うわ」
 よりによって真っ白いポロシャツだ。茶色いシミが無数にできた。
(あ〜あ、お母さんに文句いわれちゃうな)
 なんて思っていたら、車が止まった。
「ぼうや。ごめんよ。すぐに洗えば落ちるから、乗って」
 運転していた人がおりてきて、ぼくの腕をとって車に乗せようとした。
「いえ、大丈夫です」
「お嬢さんが気にされてますから……さあ」
 断り切れずに車に乗ったら、髪の長い、フランス人形みたいな女の子がいた。
「あ、ど、どうも」
 ぼくはやっとそれだけ言うと、身を固くしてシートに座った。
 さすがに外車だけのことはあって(といっても初めて乗ったんだけど)、滑るように走っていく。
 いったい、どこまでいくんだろう?
 気になったけど、聞けないまま黙って乗っていた。
 ぼくはとなりに座っている女の子が気になってちらちらと見ていた。たまに目が合うと、その子はにこっと笑う。あわてて目をそらしたけど、やけにほおがほてった。

 車が着いたのは、岬の突端にある白い洋館だった。このへんの人はみんな、別荘って言っている。いつも友だちのりょうたと、こっそり庭に忍び込んで遊んでいる場所だ。
 数日前からトラックがきて荷物を下ろしていたけど、この子が越してきたのか。
 上品な仕草は、いかにもお金持ちのおじょうさまって感じ。
 幼なじみの早紀とは、月とすっぽんだ。なぜか、あいつのそばかすだらけの顔を思い出して、笑いをこらえた。
 レリーフを施した重い扉を開くと、広い吹き抜けの玄関ホールで、天井からは大きなシャンデリアが下がっている。
 ふたりのお手伝いさんがならんで出迎えてくれた。
 圧倒されてぽかんとしていたら、
「こちらへどうぞ」
と、応接間に通された。
「すぐに洗えばシミにはなりませんよ」
 年をとった方のお手伝いさんが、恥ずかしがっているぼくにおかまいなしに、シャツを脱がすと、洗濯するために部屋を出て行った。
 その間、ぼくはかわりに貸してくれたガウンを着て、ふかふかのソファーに座った。
 少し若い方のお手伝いさんが、香りのいい紅茶とお菓子を運んできてくれた。
作品名:あかいくつ 作家名:せき あゆみ