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郊外物語

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十二月十日 土曜日

真夏の夕暮れ近く、二人の女がそぞろ歩いている。場所は、島根県の出雲大社の境内だ。
二人とも、ネット地のハンチングをかぶり、Tシャツにジーンズといういでたちで、歳も同じくらい、三十代の後半ほどだ。だが、二人の後姿は対照的だ。右側の小柄で色の白い、黄色いシャツを着ているのは、小阪昭子。首も腰も細く、肩幅も狭い。華奢な風情で、腺病質であるとさえ見える。左側の大柄で色黒の、赤いシャツを着ているのは、多田伊那子。体育会系のゴツさだ。二人とも結婚している。東京の同じマンションに住む高校時代からの友人同士だ。二人は時々顔を見合わせては、言葉を交わし、微笑みあう。いかにも仲よさそうである。
しかし、後ろからうかがっている鹿野真砂子は、伊都子が昭子を腹の底から憎んでいるのを知っていた。
二人は、本殿の手前にしつらえてある、能舞台のような拝殿の前で立ち止まった。今にも落ちてきそうな、巨大な注連縄を見上げた。拝殿を組み上げている檜の材は、向こうに見える本殿の黒ずんでくすんだ色合いに比べると、薄茶色が勝っていて艶やかだ。
作品名:郊外物語 作家名:安西光彦