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律姫 -ritsuki-
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novelistID. 8669
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君ト描ク青空ナ未来 --完結--

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21

よくわからないままに、4人が部屋のそろう。
僕と内田さんはテーブルセット、敦也と名乗った人とあと一人はソファセットに座っている。

誰も話し始めないから、何もいえない。

「で、どうするの?」
最初にそういったのは、敦也という人。
「そこは兄貴に任せる」
めんどくさそうにそう言うのは、全く知らない人。
黒髪で、驚くほど整った顔をしている。
でも、その瞳から受ける印象はとても怜たいもの。
年齢はきっと敦也って人と同じくらい。
「どうでもいいんじゃないか、とりあえず親父から言われたことは果たしたわけだし。あとは親父に任せればなんとかするだろ」
兄貴、といわれて応じたのは内田さん。
この二人はあまり似ていないけれど兄弟ってことだ。

「ところで、敦也はどこまで口を滑らせたんだ?」
内田さんがそう聞く。
「別にいいんじゃん?全部教えてあげれば?」
答えたのは知らない人のほう。
「余計な希望持ったままにしとくよりいいと思うけど」
「へえ、樹(イツキ)が珍しく優しいじゃん」
敦也って人が言った。それで初めて今ここにいる人全員の名前がわかる。
「匠(タクミ)さんはどう考えてるんですか?」
内田さんに向かって敦也って人が聞く。内田さんの名前は匠っていうらしくて、弟が樹。
聞く感じ、敦也って人は兄弟とかではなさそう。
「でも、今事実を全部話すのはショックが強すぎるだろ?」
内田さんがそういった。
さっきから、話している内容は、きっと僕について。
どうするか、ってことらしい。
「面倒だから本人に聞いてみればいいんじゃん?」
「樹、それは無理があるだろ」
「じゃあ兄貴はどうすれば良いと思うんだよ」
内田さんははその言葉に何も返すことができなかった。
兄弟の言い争いに決着がついて、樹という人が僕の目の前に立つ。
怜悧な雰囲気を見事に隠して、にこっと笑いながら聞いてきた。
「空流くんっていったっけ?」
「はい」
「俺たちが君に話すかどうか迷ってることは君にとってかなり衝撃的なことだと思うんだけど聞きたい?」
「はい」
はっきりとそう返事をする。
何が起こってるのかがわからないと、どうするかを考えられない。
「知りたいってさ。自己紹介でもすれば手っ取り早いんじゃない?兄貴はなんて名乗ったわけ?あと敦也も」
「俺は下の名前しか教えてないよ」
敦也さんが言う。
「俺は内田ってことになってる」
内田さんが言った。

僕の目の前に立ったままの樹という名の人が、面白がるように言った。
「俺の名前は、一ノ宮樹君が内田さんだと思ってるあの人は一ノ宮匠」

あまりにもあっさりと言われたものだから、頭にきちんと入ってこなかった。

今、なんて言った・・・?

頭の中でもう一度、反芻してみてやっと頭に入ってきた。
一ノ宮・・・?

「俺が言ってること、わかる?」
わかりたくないけど、わかる。
何も返事を返さないままでいると、また追い討ちのように樹サンが言った。
「だから、鷹島の若とか仲原さんに会えることはないんだよね」
そう言って、またソファへ戻った。
もう説明は済んだとばかりにあくびをしている。

「樹、説明それだけってのは酷すぎるんじゃないの?この子はここにあの二人がいると思ってきたわけだし」
そういうのは、敦也さん。
「じゃあ、もう面倒だから敦也にまかせる」
その態度に悪態をつきながらも、敦也さんが向かいの椅子に腰掛けた。

「じゃ、簡単にだけど説明してあげるよ」

決して良い予感はしなかったけれども、その説明に真剣に耳を傾けることにした。