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律姫 -ritsuki-
律姫 -ritsuki-
novelistID. 8669
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君ト描ク青空ナ未来 --完結--

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何も変わらない毎日を送り続けて、3ヶ月が経った。
正確には3ヶ月くらい。
ここに来たのは4月の初め。
今はもうすごく暑いから7月になったんだろう。

殺される日までもう半分が過ぎた。

そんな日、夜の食事を下げに来たあの人が倉庫を出たとき、いつもする音がしなかった。
鍵を閉める音が。

完全にあの人が去ったくらいの時間をおいて、扉を開けてみる。

ドアは開いた。
外はもう暗くて、星はひとつもなくて、月も見えない。

何も考えずに倉庫から出た。
あたりは暗くて、誰も居ない。

門を開けて、外へ。



外へ出た瞬間、体に震えが走った。
背中にじっとりと汗をかいているのがわかる。

殺されるとこだった…。

そのことが急に怖くなる。
死んでもいい、むしろはやく殺してくれとさえ思ったのに。

とりあえず、逃げないと…。
殺されるから、はやく…。

お金はない。
交通手段はなにも使えない。

自分の足しかない。

ぽつぽつと雨が降り出した。

暗い道を、行く当てもないままに走り出す。
3ヶ月全く運動をしていなかった体は弱ってて、すぐに走れなくなった。
それでも歩いて、

歩けなくなって、

道に倒れ込んだ。

雨がザーザーと土砂降りになる。

倒れても進まないと、殺されるから…。
雨でぐしゃぐしゃになったコンクリートの上を這ってでも、前に進まないといけなかった。
強い雨が背中を叩いて、だんだんと意識は遠のいていった。

こんな所で力尽きたら、連れ戻されるに決まってるのに。
わかってるけれど、体はもう、動かなかった。

意識を失う直前、背中を叩く雨が止んだ。
周りはまだザーザー降りなのに、おかしいな。

もう感覚すらなくなったのかもしれない。
このまま死ぬなら怖くない。
殺されるのは嫌だけど、このまま死ぬのなら大丈夫。

こんな世界にいるよりももっと幸せな場所に行けるような、そんな気がした。