小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

夕日

INDEX|3ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 

『それはそれは綺麗な紅い太陽』



私は言った。
「あれ取ってきて」
それはそれは綺麗な紅い太陽を指さして言った。
彼は笑う。
取ってこれるはずもない。
私は冗談で言った。
ただの笑い話として。
しかし、見事なまでにすごい裏切り方をされた。
彼は太陽に向かって走り出してしまった。
「あれ、早すぎじゃ…」
苦笑交じりに言う。
まぁ、明日にはまた学校に来てるだろう…。

次の日、
彼は今日学校を休んだ。
まさかね…。

家に帰ってみる。
テレビから変なニュースが流れてくる。
「ぇー、建物が次々となぎ倒されている、
 という事件が相次いでいます。
 目撃者の証言です。」
はぁ?意味が分からない。
建物が次々と倒れる?
大事件じゃないか…。
「あれは少年のように見えました、
 少年が何も障害物がないかのように、
 建物を貫いていったんです、
 で、その時起こる衝撃で、
 そのまま建物が倒れて行くんですよ!
 あれは本当に少年だったのか…」
いや、おかしい。
人がそんな事が出来るはずがない。
しかし、その考えも裏腹に、
目撃者の証言により、
頭が痛くなる。
その証言はまるっきり、
彼だと言うことを物語っていた。
「ありえない…」
私は部屋に入り布団に入って寝る事にした。
今日はパソコンをする気分でもない…。

次の日私は学校にやっぱり、
憂鬱なまま行った。
学校内ではやっぱり、
彼のうわさでもちきりのようだ…。
今日も来ていなかった…。
噂には、
「あいつ、サボるためにただ走ってんじゃねぇの?」
「ってか2日もいないとか異常だろ」
たまに思ってたけど…。
とりあえずそれは無視して部活に行く、
先輩にいろいろ聞かれるけど私は、
彼の消息は知らない…。
ただ、今世間で騒がれてるのが彼であると思うことだけ…。

家に帰ると、
テレビではもうすでに全国規模になっていた。
ありえない速度で走る少年…。
何であっても止める事も出来ず、
何であっても追い付くことが出来ない。
まさにそれは災害でしかない…。

次の日私は頭痛のする頭を抱えながらも、
学校に行く。
相変わらず学校は憂鬱だ…。
部活以外楽しい事は少ない…。
しかも、今では部活でいつも隣で、
時にうざいと思ってしまうほどの、
面白い彼はいない。
まぁ、すぐ帰ってくるかな…。
いなくなったらそれはそれで空しいし。

帰ってみると、
もう災害のような少年は空に飛んで行って消えた、
というニュースが流れていた。
「ははは」
まさか空さえも飛んでしまうか…。
彼のことだ、
そのまま太陽にぶつかって、
消滅でもしてしまってるんじゃないかな…。
私は笑った。

それから彼を見る事はもうなかった…。
「いじるだけいじって逝っちゃったなー…」
いつかすごい仕返しをしてやろうと思ってたのに…。
ある意味いい友達だったな。

作品名:夕日 作家名:異海 豹