影響された世界にて
最初、ルリジとウォーは、ピスのこの唐突な発言にポカンとしていたが、
「何言ってるんだよ！ 案内してくれたお礼をしたいだけじゃないか」
「もし、コイツがいなかったら、俺たち全員、その獣に喰われていたんだぞ！！！」
口々にそう言うと、そのまま村に向かって歩き始めた。その後ろを、ロボがゆっくりとついていく。ピスも渋々、後に続く。
ところが彼女は、あきらめきれない様子で、ロボを捕まえてやろうとする。しかし、その前にロボは、彼女の手が届かない高さまで浮き上がる。
ピスは、ジャンプをしてロボを捕まえようとしていた。あきらめずに何度も何度も……。
ルリジとウォーは、歩きながらたまに振り向いて、そのシュールな光景を見て笑っていたが、次第に笑わなくなっていった。なぜなら、道中、彼女が好きなはずのお花畑があっても、彼女はそれに目もくれずに、必死にロボに向かってジャンプをし続けていたからだ……。やっぱり、ロボを村に連れて行くのをやめようかと考えていたかもしれないが、結局、そのまま村に着いた。
彼女の指が、ロボに触れることは無かった……。