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そこにあいつはいた。

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「でも、プラスの働きかけをしそうな存在で、少女の姿で、あの髪型でしょ。それにこの古い家……」
 数刻首を曲げ曲げブツブツ呟いていた飯田は、突然いかにも得心がいったというようにポン、と手を叩いた。
「座敷童子だ!」
「……座敷童子?」
 その言葉を聞いた途端、子どもの頃好きだった妖怪アニメに出てきた、着物を着て座敷の片隅に佇む不気味な子どもの姿が脳裏を過ぎった。 
「あの、ゲゲゲのなんちゃらに出てきたようなやつ?」
「うん、そういう感じ。ただ、年齢や性別も地域や伝承によってもいろいろみたいだよ。さっきみたいなのもありなんじゃないかなあ」
 そう言うと飯田は、こけた頬にはっきりした影を刻みながらにんまり口の端を引き上げた。
「よかったじゃない。座敷童子はきちんと祀れば幸運を呼んでくれるらしいよ。取り敢えず着物でも供えてみたらどう?」
「き、……着物?」
 些か引きながらその言葉を反芻すると、飯田は深々と頷いた。
「多分それが言いたくて現れたんだよ。冬が来るし、裸じゃ寒いって……。きちんとやってあげるといいよ。供え物だから勿論お古じゃなくて、新品を」
「新品って……俺が買うの?」
「そりゃそうだよ。それで祀れるんなら安いもんだって。とにかくよかったね。座敷童子なら僕についてくることもないから、奢りは明日明後日だけでいいよ」
 落ちくぼんだ眼を細めて見たこともないくらいニコニコしながら、飯田はそう言って何度も頷いた。
 そのあまりの喜びように何となくそんな気がしてきて、そうじゃないような気がしながらも、俺は中途半端な笑みを浮かべながら取り敢えず頷き返しておくことにした。