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Gothic Clover #02

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「まぁ、あの人は見た感じ、話しかけ易いですからネ」
「何普通に話してるんだよ」

 掻太にツッコまれた。

「だって掻太、ボク達は今は何もやましいコトはしていないんだヨ?」
「まぁ、そうだけど」
「あれ? 一人増えてないか?」

 狭史さんが人飼に気付いたらしい。

「ホラ、あの娘は前回に来てた三人目だよ」

 坂造さんがフォローを入れる。
 ふむ、聞いてみるか。

「坂造さん達はよくこの店に来るんデスカ?」
「ん? まぁ、よく来るなぁ」
「とは言っても最近来始めたんだけどな」
「最近?」
「なんかおやっさんがよくこの店に行きたがるんだよ。ま、ここの料理おいしいからな。そうっすよね? おやっさん」
「まぁ、そういうことになるなぁ」
「ふうン。坂造さんはパスタ、好きなんですカ?」
「ああ。そうだな」
「ほい、おまちー」

 詩波さんが料理を運んできた。

「これがー、はーくんのでー、これがー、おっちゃんのでー、これがー、捩斬クンの」
「ういっす」
「いただきます、と」
「捩斬クン、ミルクと砂糖いる〜?」
「いや、いらないッス」
「ブラックかぁ。渋いねー」

 ボクは一口飲んだ。

「どんな感じ?」

 掻太が聞いてくる。

「……おいシイ。」

 ふむ、そこら辺の缶コーヒーより格段においしい。

「一口くれ」

 掻太が無理矢理カップを取って勝手に飲んだ。

「苦っ! よくこんなの飲めるな。」
「コーヒーの味を知るにはブラックが一番ダ」
「気取ってんじゃねぇよ。人間の飲み物じゃねぇこんなの」
「なんとでも言いたまエ」

 ボクはゆっくりとコーヒーを味わった。
 ふむ、おいしい。
 このコーヒーは豆や水の品質を上げて無理矢理おいしくしているワケではない。作り手の技量がすごいのだ。

「うん、おいシイ」
「いちいちうるせぇよ」

 掻太がうんざりした顔でボクを見た。

「人飼、どうにかしろよ。このバカ。」

 人飼に話を振るなよ。

「なぁ、人飼?」
「捩斬クン」
「……何?」
「捩斬クンはアレね、タバコ吸わないのにカッコつけてジッポライター持っちゃうタイプでしょ」
「悪いか」
「的中!?」

 あ、人飼が驚く顔を初めて見た。。

「かわぃい〜!」

 詩波さんが人飼を抱き締めた。
 ボクの周りはこんな奴ばっかりか。
 なんか疲れた。
 ボクはまたコーヒーを一口飲んだ。

「コーヒーの味なんてどれも変わんないだろ」
「いや、変わル!」
「そうか、どんな不味いコーヒーでもミルクと砂糖を大量に入れればある程度は飲めるようになると思うんだがなぁ」
「キサマ、今すぐ全国のコーヒーに命かけてる喫茶店のオーナーに土下座してこイ」

 そして一生帰ってくるな。
 坂造さん達二人は二人で、軽く会話をしながら食事を続けている。
 おそらく事件についての話だろう。

「……で、…………い倶楽部ってのが……」
「…………りゃ都市伝せ……し歌劇団ってのもまた………………」

 倶楽部? 歌劇団?
 何の話だ?

「ごっそさ」

 こうやって話している間に、どうやら坂造さん達は食事を終えたらしい。

「じゃあ片付けるよー」
「お願いします」
「ういー」

 詩波さんがまずカツカレーの皿を厨房へと運ぶ。

「ふぅ、というわけで、俺達は先に帰るから、おまえらも遅くならないうちに帰れよ」
「はぁ、そうしマス」
「じゃ」

 坂造さんと狭史さんは会計を済ませて店を出て行った。
 テーブルにはまだ片付けられてないイカ墨パスタの皿とスープ皿とフォークが置かれていた。
 それらの食器も詩波さんに片付けられてゆく。

「捩斬、俺達も行こうぜ。」
「あ……ウン、そうダネ。」

 ボクは残りのコーヒーを飲んで、席をたった。
 会計を済ませて店を出る。
 店を出た所で気になっていたコトを人飼に聞いてみる。

「さて、人飼。あの店の従業員の中に犯人はいると思うカイ?」
「あっ! そういえばそうだ。それを知りたくて行ったんだった!」

 掻太のヤツ、今頃思い出しやがった。

「…………」

 人飼は鞄の中からフォークを取り出して考え込んでいた。
 現場で見つけた、あのフォークを。

「……正直、わからないよ」
「……そうカイ」
「ごめんね」
「謝ることじゃねぇよ」
「ふぅ、じゃあ帰ろうカ」
「うん」

 人飼は軽く頷いた。
 全く、無駄に時間を過ごしたものだ。
 でも、
 ボクはもしかしたら、ただ現実から逃げたいためだけに、こうやって無駄な行為を繰り返しているのかもしれない。
 だとしたら、現実とは、何のコトを示すのだろうか?
 学校?
 …………。
 それもまた、あやふやな現実だった。

作品名:Gothic Clover #02 作家名:きせる