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ひとりかくれんぼ/完結

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5月26日 01:11(水)


★5月26日 01:11(水)
今日はカラオケオールです!つかさっきまで確かにリア充と飲んでたんだけど、カラオケに行ったらリア充が迷子wwwwアニソン歌いすぎwwwさっきの恋バナ(笑)してたお前らはどこに行ったのwwwwでも私はそんなお前らが大好きだずwww明日、大学間に合うかしらドキドキ。ところでジョイサウンドはボカロが入ってて…


 ブログを読みながら、暗い道を歩いた。外は思ったほど寒くない、むしろ暑いくらい。薄いパーカを羽織って出てきたけれど、いらなかった。私の家から歩いて20分ほどのところにコンビニがある。歩いていくとコンビニの前に、サチを見つけた。サチは何やら携帯を覗き込んでいる。

「サーチ?」
「うわはっ、って愛じゃん!マジびっくりさせないでっての!」
「ごめんごめん」
「てか、あれ、見た?2ちゃん、送られてきたヤツ」
「え、見てない」
「見てみ、見てみ」

 そう言って、サチは私に携帯を貸してくれた。サチは、待っている間のお菓子を買ってくると私に言い残して、コンビニ入ってしまった。残された私は、サチの携帯から2ちゃんを見た。



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 177 2010/05/26(水) 02:13:48 ID:ysfoLwiHO
 名前:ナナ◆uDJlrKOaro
 今日、ひとりかくれんぼをやります。
 スペック:
 K県在住、17歳、女
 霊感はあるから、結構何が起きても対処できます。

 人形:テディベア(年代物)
 中身:米と髪
 名前:チコ
 隠れる場所:押入れ
 刃物:カッター

 爪は願掛けで伸ばしてるので、髪にしました。
 それ以外はテンプレ通りのことをします。
 部屋にデジカメ設置もしました。
 一応、友人が部屋の外で待機しています。
 3時ジャストから開始します。

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 179 2010/05/26(水) 02:36:46 ID:k+AoiTktO
 名前:
 勇者ktkr!17とかJKwww
 無理をしないように気をつけてな

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 180 2010/05/26(水) 02:37:12 ID:Eatapfar0
 名前:
 自称霊能力者さんは心強いですね><
 頑張ってください><

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 ナナは多分、ナナのことらしい。その後も、ぞくぞくとレスポンスがついていた。
 なるほど。身内だけじゃなくて、ここに書き込めば他の人とも共有ができるのか。そしてこれもログに乗るのかな?

「ね、すごいよね。なんか面白くなってきた!」

 コンビニから出てきたサチは、私が携帯にかじりついているのを見てにやにやと笑った。
 それから、私とサチは貰った地図を頼りに井坂サンのお兄さんの家に向かった。コンビニの近くのアパートで、すぐに見つかった。井坂サンがアパートの前に立っていたのだ。

「やっほー、井坂サン!サイト見たよーすごいね!」
「うん…まあ…うん、ついてきてよ」

 井坂さんは携帯をずっと俯きながらガチャガチャ打っていて、こちらを向かない。俯いて携帯を弄る彼女はまるで、貞子そのものだ。髪の毛を縛ればいいのに。
 井坂さんのお兄さんの部屋は3階の角部屋、301号室だった。

「ここって、レオパ?」
「うん…そう」
「マジ?壁薄いんでしょ?」
「わかんないけど…そうかも…」

 井坂さんは、相変わらず携帯に何かを打ち込んでいる。きっと2ちゃんに何か書いているんだろう。私たちは、井坂さんのお兄さんの家には上がらずに、玄関先で待っているよう言われた。そうしてすぐに、井坂さんがドアから顔をだし、私たちに500ミリのペットボトル2本を渡した。今度は携帯をいじっていない。

「念のため、君たちにも塩水。僕は大丈夫だけど、君たちに何かあると悪いから。一応、鍵は開けておく。5時には終了させるし、助けて欲しい時にはケータイで呼ぶし…。中は、2ちゃん見てて」
「ねえ、もうやんの?」
「そうだけど」
「やる前に人形見せてよ!」

 サチがらんらんとした目で頼むと、井坂サンは部屋に戻り、部屋から人形を取って来た。もう、すでに術が施されているのか、愛らしいテディベアには赤い糸が巻きつけられていた。それ以外は、何の変哲もないテディベア。

「これ、お米入ってるんだ?」
「いれた」
「縫い目が綺麗だねえ。お裁縫上手なんだ」

 私がなんとなくそういうと、井坂さんは照れたように顔を隠す。嬉しかったのかな?よく、分からないけれど。

「じゃあ、僕は3時ジャストにはじめるから。よろしく」
「任せてよー」

 それから、井坂サンはドアを閉める。
 私たちは、部屋の前の廊下に腰を下ろし、コンビニで買ったお菓子の袋を開けた。

「っていうか塩水とか、用意万端だね」
「マジうけるし。まあ、部屋の外にいるし、大丈夫っしょ。それより2ちゃん見てよーよ」

 ケータイを開けると2時52分だった。もうすぐ本当に始まる。
 が、しかし、また…

「…ねえ、また私、圏外なんだけど…」

 おかしい、コンビニの前までは確かに電波があったのに。ぞくっと寒気がしたが、サチがは私のケータイを覗き込んで笑った。

「ちょっ、マジじゃん!ソフトバンク仕事してよ!」
「ねえ、ちょっと怖くない…?」
「愛のソフバンの電波逃亡はいつもじゃん。いいよ、私の一緒に見よーよ!」

 いや、確かによく電波が入らなくなるけど、こんなに頻繁にはならないよ…!
 しかし、サチは私の前に携帯を突き出してくる。