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ひとりかくれんぼ/完結

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 そのまま教室を連れ出され、1組へ。1組の教室前廊下は人で賑わっていた。サチは、私に待ってて、と手で合図し、1組の教室の前で男子に話しかけた。そしてかわいくおねだりポーズ。男子は一瞬嫌そうな顔をしたが、仕方なさそうな面持ちで教室に入っていく。
 サチはすごく可愛かった。そして、ちょっと我侭だ。まさに小悪魔!なんて思っていると、1組の教室から、一人の女子が出てきた。ロングの黒髪で、前髪でよく顔が見えない。正直な感想、ちょっと気味が悪い感じだ。恐らく、あの子が井坂さんなんだろうなあと思っていると、案の定、サチが私を手招きした。

「井坂サン、久しぶり!祥子(サチコ)だよー、覚えてる」
「…久しぶり」
「でっ、こっちが親友の愛!愛、井坂ななみサン」
「は、はじめまして…」
「はあ…」

 なんてぎこちない挨拶だろう。そしてこの白々しさ。にこにこしているのはサチだけだ。私と井坂サンのまごつきよう。
 しかし、それにお構いなしでサチは話を続けた。

「あっ、ねえ。それで、井坂サンさァ、単刀直入に聞くけど、霊感あるんだよね?」

 それは確認というよりも、嘲笑にも近い響きを持っていた。井坂サンは一瞬驚いたような顔をしてみせたが、すぐに返事をした。

「うん、あるよ」

 イタタタタタ…!居たたまれない、私が居たたまれない。サチが私を横目で見て、にやにやと笑う。

「そう!やっぱり!あのね、私たち本当に霊感をある人を探しててー、ねえ?愛」
「えっ」
「でね?愛の中学にも霊感があると言えば、井坂ななみっていうくらい、井坂サンって有名人だったって聞いてー…ね?」
「あ…う、うん…」

 サチは私に頷くように促す。勿論、私は井坂サンのことなんか全く知らないし、噂にだってなったことはなかった。サチは大胆な嘘をつきすぎだ。しかし、井坂さんは嬉しそうな、照れたような返事をする。

「そ、それほどでもないけど…まあ、僕は普通の人よりは見えるからね…」

 そして、くすくすと笑う井坂サンは本当に不気味だ。黒いストレートの髪の隙間から口と片目が笑っている。まるで貞子だ。しかしサチも乗っていく。

「だよねえ!で、さあ、ちょっと相談があってー、井坂サンにしか頼めないって思ってー」

 そして、サチは自分の淡いピンクの携帯を取り出した。そのまま、その画面を井坂サンに見せた。


「あのね、ひとりかくれんぼって言って―…」