小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

わが家の怪

INDEX|2ページ/20ページ|

次のページ前のページ
 

─弐─ 《お別れ》




 霊感があるのかどうかなんて、自分では意識したこともなかった。
 小学校のときのあの体験以来、別に何かを見たこともなかったし。

 それでも、かすかな「勘」のようなものはあったのかもしれない。

 あれは高校2年生の時だった。

 部活動の県大会に出るために県の中心都市へ行った帰りのこと。

 行く先(終着駅名)が同じでも、東回りと西回りの線があるのに、うっかりそれを見落として西回りの電車に間違えて乗ってしまった。

 中心都市の大きな駅だったらホームがちがうので間違えることはなかったのだが、会場から一番近い駅がそこから外れていて、一つしかホームのない小さな駅だったので、勝手がわからなかったためだ。

 気がついたのが西回りの方の駅に着いてしまった後だったので、もう一度もとの駅に戻って東回りの電車に乗り直すのに2時間かかってしまった。なにぶん田舎のため、1時間に1本しか電車がないせいだ。

 おかげで自分の町の駅に着いたのが、夜も9時を回ってしまっていた。



 駅に降り立ったとき、ふいに背中に悪寒が走った。



「家の前に誰か居る!」



 なんの根拠もなくそう思った。
 そして、そう思ったとたん、徒歩で20分かかる自宅まで歩いて帰るのが怖くなった。

 結局、タクシーに乗って帰ったのだが、問題は家の前だ。
 通りから少し入った場所にわたしの家は建っている。

 タクシーから降りたわたしは、そうっと手前の家の影から自宅の方を見た。
 ぼんやりと玄関の明かりがともっている。

 誰もいないことをたしかめ、それに安堵してわたしは家の玄関を開けた。

 ところが、両親が沈痛な面持ちで小声で話している。
 何かと思ったら、父の親友が今さっき亡くなったという連絡があったのだという。

 わたしは心の中でつぶやいた。

「そうか。それで……」

 その人がお別れに来ていたのか──。




作品名:わが家の怪 作家名:せき あゆみ