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ほのむら伊流
ほのむら伊流
novelistID. 498
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竹草少女

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 放課後の委員会招集をホームルームで連絡されたとき、彼女の頭の中はいかにしてその時間を乗り切るかという事だった。
(はぁーっめんどくさい!)
 もともと彼女は委員長を立候補したわけではなかった。ただ周りの流れで、何となく押し付けられて、なってしまったのである。
「なんとなくできそうかなぁ、とか思っちゃったのが失敗だったなぁ…」
 今思えばノセられていたのであるが、新学年でクラス替えがあった事もあり、少し浮かれていたことは否めない。
 彼女はどちらかというと他人に追従してしまうタイプで、同調したり愛想笑いとかを浮かべてしまう方だった。本来ならそういう人間はすぐにそれと見破られ、その意志薄弱な所を付け込まれたりあざ笑われたりしてしまうものだったが、彼女自身のそれとは気づかぬナチュラルな“ズレ”が、偶然にも好意的に解釈されてしまっているのだった。
 彼女自身も何となく自分のそういうところに気付いていて、どうにかその“ズレ”を何とかしようと思うのだが、そうやって周りをちらちら窺って観察して行動する度にまたしてもいろいろと“やらかして”しまう彼女はすっかり自分に幻滅してたりするのだった。
(絶対誤解されてると思うんだわ…あたし)
 天然だけど、どっか芯があって頼れるかも、とか思われている彼女は、その実それが体の良い“お使い”である事を見抜いていて、それでもあえて自分はそうするしかないことも分かっていて―――。
(天然って皆ゆーけど、結構いろいろ考えてんのよ?)
 基本的に人間とは他者から規定されている部分と自己の認識による部分があり、そのどちらもが正しく、どちらもが間違っている。自身の印象やキャラクターなんてものは、ひどく曖昧で適当である以上、そもそもいちいち気にするようなものではないのだ。この他者から見れば些細でどうでもいい事が、本人にとっては切実で大げさな悩みになってしまっているところが“天然”と言われる理由なのであったが、彼女はその事に気付かない。だから彼女はたまにムキになってしまって―――本当は周りにノセられていただけなのに委員長なんかをやってしまうから―――周りに“ああ見えて実は責任感がある”と、誤解されていくのだった。
 今日もまた、彼女は教師から肩を叩かれて、円卓上に並ぶ会議席に座っているのだった。
作品名:竹草少女 作家名:ほのむら伊流