ゼロ
作戦
木の枝葉は肉食性、蜘蛛の巣のように光を捕食する。親である光は木の濃度に熔かされて死んだ。光の遺児は静かに渦巻き始め、魚のような復讐に、軋んだ泳路を貸し与える。遺児の波長が復讐の長さを測る単位となる。遺児は振幅の中に酸の縞をかじり取る。仇の木が刺さっている類型を解体し、木の同一性に分け入る。
光の遺児は、音の少数民族に修飾してもらう。音の茂みの丸みを複写し、光速を音速ごとに切り分ける。遺児は音の息子たちに色彩を分け与え、音の親たちから調性を借り受ける。音を敷き詰めて道をなぞり、光の静物を滑らせる。
光の遺児は、仇の木を探して、雲の平面をいくつもしわくちゃにする。森の辞書の欠落した項にその木はいた。遺児は調性の力で自らを分割し光のメロディーを張り巡らす。音速の痛みの合力で水蒸気を砕く。そして仇の木の葉に差し込むが、葉緑素に吸収されてあっけなく死んだ。