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タカーシャン・ソレイユ
タカーシャン・ソレイユ
novelistID. 70952
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十年という歳月

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十年という歳月

忍び寄る影と、本物への階梯

人生における「十年」という時間は、単なる数字の羅列ではない。それは、何かが「本物」へと変貌を遂げるために必要な、一種の聖域のような月日である。

私たちはよく、プロフェッショナルと呼ばれる人々を指して「十年の磨き上げ」を称賛する。毎日地道に積み重ねられた技術や知識は、十年の節目を迎える頃、細胞のひとつひとつに刻み込まれ、無意識のうちに最善の選択ができる「熟練」へと昇華する。十年の歳月は、虚像を削ぎ落とし、揺るぎない「本物」を造り上げる。

しかし、この時間の公平さは、時に残酷な横顔を見せる。

「十年の沈黙」を経て姿を出し、味方のふりをして拡大する病――たとえば、膵臓がんのような存在もまた、十年の歳月が丹念に造り上げた「負の完成品」なのだ。それはある日突然、天から降ってくる災難ではない。最初の一個の細胞がコピーミスを起こしてから、検査で見つかる一センチの塊に成長するまで、がんは十年の歳月をかけて静かに、そして着実に、体の一部としてその地盤を固めてきたのである。

仕事が「プロ」になるのと同様に、病もまた、十年の不摂生や蓄積されたストレスを糧にして、逃げ場のない「重病」という名のプロフェッショナルへと育っていく。私たちが手にする結果は、良くも悪くも、過去十年の「投資」の集大成にほかならない。

だからこそ、この「十年」という単位を、絶望ではなく「方向
転換の合図」として捉え直す必要がある。

もし、今この瞬間に何らかの異変や岐路に立っているのなら、それは過去十年の歩みを精算し、次の十年を定義し直すための厳粛な儀式である。一センチの影が見つかったのなら、それは「十年の習慣」を見直し、同じだけの歳月をかけて心身を本来の場所へ「戻す」ための出発点だ。

十年かけて忍び寄った影は、同じく十年かけて光の中へ連れ戻す。
方向転換に遅すぎることはない。今日という日は、次の十年を「再生のプロ」として生きるための、最初の一歩なのだから。