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タカーシャン
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novelistID. 70952
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唾液という、体が持つ最強の薬

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唾液という、体が持つ最強の薬

飴やガムを口にすると、どこか「口寂しさを紛らわせる癖」のように見られがちだ。しかし実は、そこには人間の体が本来持つ、極めて高度な健康システムが働いている。主役は「唾液」である。

唾液は単なる水分ではない。血液をろ過して作られるとも言われ、免疫物質や消化酵素、成長因子まで含む、いわば体内製の多機能液体だ。しかも、その分泌を最も効率よく促す方法が「噛むこと」なのである。

まず注目したいのは、免疫力への貢献だ。唾液に含まれる免疫グロブリンIgAは、ウイルスや細菌が体内へ侵入するのを防ぐ最前線のバリアとして働く。喉や口腔の粘膜を潤し、異物を絡め取って排除する。風邪やインフルエンザの予防に「うがい・手洗い」が勧められるが、唾液もまた、日常的にできる自然な防御策と言える。

歯の健康にも欠かせない。食後、口の中は酸性に傾き、歯は溶けやすい状態になる。ここで唾液が分泌されると、酸を中和し、カルシウムやリンによって歯の再石灰化が進む。初期の虫歯が自然修復されるのは、この働きによるものだ。また、自浄作用によって食べかすや細菌が洗い流され、口臭予防にもつながる。

さらに唾液は、消化と若さにも関与する。消化酵素アミラーゼが糖質の分解を助け、胃腸の負担を軽くする。加えて、唾液中には「パロチン」と呼ばれる成長ホルモン様物質が含まれ、骨や血管、筋肉の若返りに関与すると言われている。よく噛むことで満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防ぐ点も見逃せない。

そして、噛む行為そのものが脳を活性化する。咀嚼によって脳血流は大きく増加し、記憶を司る海馬や、判断力を担う前頭葉が刺激される。リズムよく噛むことで、精神を安定させるセロトニンも分泌され、ストレス緩和にもつながる。静かにガムを噛む行為が、思考を整える助けになるのは、決して気のせいではない。

効果を生かすには選び方も重要だ。砂糖の摂りすぎを防ぐため、キシリトール100%のガムやノンシュガーの飴が望ましい。噛むときは左右均等に、食後や集中時、口が乾きやすい場面で取り入れるとよい。舐めるだけでも唾液は出るが、「噛む」という動作が加わることで、脳と体への恩恵は一段と大きくなる。

私たちの体は、すでに優れた健康法を内蔵している。そのスイッチを入れる行為が、実は「噛むこと」なのだ。飴やガムは、ささやかな嗜好品ではなく、体が持つ知恵を引き出す小さな道具なのかもしれない。