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旅エッセイー北海道3 道南、湖を巡る

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 チェックアウトし、洞爺湖サミット跡地を見物。なつかしのブッシュや福田、メルケル、メドヴェージェフ、ベルルスコーニ、サルコジらの等身大写真パネルがあった。今にして思うと平和なメンツだったと思う。トランプや習、プーチンとはだいぶ違う。
 ニセコへ向かう途中、サイロ展望台というところから曇り空の洞爺湖を一望。すると近くでヘリの爆音が聞こえてきた。これからヘリで観光する中国人グループが離陸するところだった。天気がいまいちで気の毒だが。
 北海道の道路は両脇に溝がありそこには今まで見た地域では蕗が群生していたのだが、洞爺湖を離れニセコへ向かう道は蕗がなく、かわりに虎杖がやたら生えている。この地域は虎杖が育ちやすいのか。
 途中にダチョウ牧場というものがあったので寄ってみる。無人売店には100円の餌が置いてあり、つぶして乾燥させた豆が入っている。試しに買って餌をやってみるとダチョウたちがわらわらと寄ってきて、手のひらをガツガツつついてくる。くちばしは丸いので痛くはないがちょっと怖い。ダチョウは目つきは怖いが意外とまつ毛が長い。牧場には馬も一緒にいて、遠くの方で草を食んでいた。
 蕎麦屋で昼食を取りニセコ駅を見物。メルヘンチックな駅舎がかわいらしい。無人駅で改札もない。隣の駅名は昆布と比羅夫になっている。ニセコだけ漢字じゃないんだ。
 チェックインには早すぎるので神仙沼に行く。雨上がりの木道を800Mほど歩くが濡れていてけっこう滑る。知床や釧路の湿原よりこじんまりとした、日光の戦場ヶ原のような湿地帯なのだが、もっとワイルド。やがて沼に出る。行く時にすれ違った人々が完全登山装備でクマよけ鈴をつけ、足元も泥だらけだったのでビビっていたのだが、それほどではなかった。彼らは別のルートから来たのかもしれない。
 水中からミツガシワのかわいらしい三つ葉の芽がいくつも突き出し、波一つ立たない静かな水面には向こう岸の木立が鏡のように映り込み、かすかな風に時々輪郭をぶれさせながらたたずんでいる。神仙の名の通り神秘的な雰囲気が漂う。どんよりとした曇り空なのもかえって神秘性が増すようだ。
 倶知安で買い物しホテルへ。晴れてきて羊蹄山が良く見えるが、半分雲に隠れている。ビジネスホテルなのだが、フロントはとりあえず日本語の話せる外国の人だった。なるほど、今、ニセコは海外からの客が圧倒的に多い。街を散歩すれば英語表記の看板だらけで、一瞬外国に来たかのような錯覚に陥る。独身時代、かなり昔に職場の人とニセコアンヌプリにスキーで来たことがあったが、雪景色だったのもありニセコの街の印象が全然違う。というかスキー場以外の記憶がない。あの当時のホテルは一体どこだったのだろう。とにかくマイナス7度でリフトに揺られている時ものすごく寒かったのが一番記憶に残っている。
 
 明朝、天気はよく、チェックアウト後羊蹄山の写真を撮ってから出発。倶知安方面へ羊蹄山の北側を回りこむルートをたどる。途中、「ふき出し公園」というきれいな湧き水のある場所に立ち寄る。水路に木道や橋がかかり、水を汲める場所もある涼し気な公園。こんなマイナーな場所にも拘わらず中国の人が結構多かった。列に並んで水を汲んで飲んでみる。なるほど冷たくておいしい。私が旅行バッグに常備していた折り畳みコップがこの時初めて役に立った。展望エリアに登ると雲のない空をバックにくっきりきれいな羊蹄山を拝むことができた。
 北海道らしからぬ高層ビルがそびえていると思ったらそれがルスツリゾートだった。せっかくなのでに立ち寄ってみた。上から見たら景色がいいだろう、と思ったのだが、テラスに登る単独のチケットはなく、遊園地とのセット券もしくは5900円のランチセット券しかないという。安くておいしいものがたくさんありそうな北海道に来ているのに、ここでこんな豪勢なランチを食べるつもりはない。なんか阿漕な商売してるなあ、と諦める。
 結局お昼は北海道のコンビニ、セイコーマートで調達することになったわけだが、支笏湖に向かう途中でキノコ天国なるキノコに特化した道の駅のようなところがある。ここのイートインでサンドイッチをつまみながら110円のキノコ汁を飲んでみたがなかなかおいしかった。残っていた食料は支笏湖畔の木陰のベンチで平らげ、オコタンペ湖に立ち寄ってから宿へ向かった。
 オコタンペ湖は支笏湖の近くにある周囲5キロのとても小さな湖。三万年前の噴火で沢がせき止められてできたらしい。支笏湖より300メートル高地でそこからオコタンペ川が流れだし支笏湖に注いているそうだ。道路から見下ろすと相当離れた下の方にあり、道もなく岸辺に降りることはできない。
 丸駒旅館にチェックインする。支笏湖に貼りつくように建つホテルで、かなり秘境感があり周囲には何もない。ここはテルマエロマエの作者、ヤマザキマリさんもお気に入りらしく、お風呂へ向かう廊下に彼女の色紙が貼ってあった。
 湖に面したこのホテルには湖とつながって湖の水位と連動する天然露天風呂があるという。脱衣所から渡り廊下を30メートルばかり歩かなければならない。夏だからいいけれど冬は寒そうだ。本日の水位は40センチでお風呂として肩まで浸かるには苦しい。ほどほどにして上のお風呂に戻る。支笏湖に面した露天風呂の隣には今はやりの樽型バレルサウナが置いてあったので試してみる。外の景色が見えるところが新鮮かも。そして水風呂だが、どっぷりつかっている人もいたので普通の水温と思いきや、これが湧き水かけ流しで飛び上がりそうに冷たい。まあサウナというものはフィンランドのような寒い国で、仕上げに湖に飛び込んだりしているから、水風呂は冷たくて当然なのだが、私は1分も入っていられなかった。
 部屋に戻ると暑いのでエアコンをつけようとリモコンを探したが、そもそもエアコン自体がなかった。北国だからね。でも昨今の温暖化は北海道といえどもエアコンなしはちょっときついのではなかろうか。
 朝は流石に冷えるのだが、朝風呂に行ったとき水浴びをして水風呂に入ってからベンチで休んでいる人がいた。よく寒くないものだと感心する。
 そういえばここの脱衣所で流していた入浴マナービデオ、ホシノリゾート製作の鳥獣戯画のアニメーションでなかなか洒落ていた。
 チェックアウト後恵庭渓谷へ。いくつかの滝をみてから空港へ向かう。6月の新千歳空港は多種類の紫陽花のプランターに彩られていた。紫陽花に見送られ梅雨の東京へ。