旅エッセイー北海道2 北の国から
滝は見たし雨も止まないので旭川に引き上げ、昨日の動物園が雨だった時の代替え観光としてマークしておいた市立博物館へ行く。散歩していた忠別川を渡った南側のエリアにある。旭川の歴史と自然を紹介する博物館で古代人やアイヌの人々、明治以降入植した人々の住居や生活道具の他、旭川の地形や生態系などが展示紹介されている。ゴールデンカムイを見ていた私はアイヌの小刀、マキリや民族衣装のアットゥシ、樺太やサハリンのアイヌが云々の話に興味が湧いた。多くの北海道アイヌが交易品を求めサハリンへやってくるようになり、サハリンのニブフと揉めたため、ニブフは元に助けを求め、元軍と北海道アイヌが争った結果、結局元は北海道アイヌをサハリンから追い出すことはできなかった、などという話が漫画で説明されていた。こんな話は歴史で習わなかったな。元寇は対馬や九州だけの話ではなかったのだ。他にも漫画の説明文が色々あったのだが、ゴールデンカムイを知らない夫はサクサク行ってしまうのであまりじっくり読めず残念。あとは小さな縄文土器がたくさんあったが、飾りやおもちゃではなく特別な用途のために作られたものらしい。弥生式土器のように見えたものはオホーツク式土器というものだそうな。弥生人がここまで来たのかわからないが北海道では寒冷すぎて稲作にはむかなそう。
雨もあがったのでホテルに戻り夫と街の散策にでる。駅とは逆の北方面に行くと常磐公園という池のある大きな公園があった。周囲には図書館や公会堂、美術館やプールやテニスコートを配し、花壇も整備されきれいである。ここにも上川神社頓宮がある。頓宮とはお祭りの時にお神輿が滞在する場所。忠別川の南にあった上川神社からお神輿がここまで来るということだろう。
街中はやたらとハートをテーマにしたアートが飾られている。何かイベントがあるらしい。そこへ「あさひかわの地酒で乾杯〜まちなかビアガーデン2023」の立て看板が。しかし残念なことに開催期間が我々が北海道を発つ日からだった。うわー残念!
北海道最終日、午後一のフライトで東京へ戻らなければならないので午前中に最後の観光に。
まず北鎮記念館へ。自衛隊の施設なので無料。旧陸軍第七師団の資料を展示している。昔の軍服とかサーベルとか銃器とか、男子が喜びそうなものがたくさん。でもよく見るとサーベルの束なんか凝った細工が一つずつ違って実に芸術的。というかこれはもろにゴールデンカムイの資料でしょう。と思っていたらやはりありました。野田サトル先生や声優さんたちのサイン色紙が。そしてコスプレ用衣装やタイアップ商品。まあ、北海道中がゴールデンカムイを応援していて恩恵にあずかっているこの頃であれば、多くのファンが聖地巡礼に訪れるのを当て込むのはよくわかる。
北鎮記念館を後にした我々は石狩川にかかる神居大橋のある神居古潭へ。カムイ(神)の居るコタン(里)が地名の由来という。大雪山から流れだし巡り巡って石狩湾に注ぎ込む石狩川の中流域にあたるだろうか。奇岩怪石多く航行の難所だったため魔神の居る魔の里という意味らしい。天気もどんよりしていて不穏な物寂しい雰囲気が漂う。神居大橋は白っぽい木製のちょっと老朽化した釣り橋。これまで数度改修されたというが、そもそもが大正14年に建設とのこと。古びているはずだ。実はこの橋、この9か月後に女子高生が転落死させられた凄惨な事件の現場。予兆ではないが天気のせいもあり陽気な雰囲気の場所ではなかった。
近くには旧函館本線の神居古潭駅の廃駅があり草の生えた線路にD51が一台たたずんでいた。周辺にはヒグマ出没の看板も。とはいえ結局、熊より魔神より人間の方がはるかに恐ろしいのかも。
旭川空港へ向かい、空港のイートインで残ったビールを飲んで食事を摂り、帰京。
作品名:旅エッセイー北海道2 北の国から 作家名:鈴木りん



