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旅エッセイー北海道1 自然満喫道東の旅

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6月なのに5℃、道東の旅   202206 知床、根室、釧路、網走

 梅雨のない北海道とはいえ、この日の天候は曇り。朝9時前に女満別空港に降り立つとぐっと冷えこむ。気温5度位。人口密度が少なくく空気も澄んでいそう。空港自体がこじんまりとしているし、外にでても建物が少ない。
 予約しておいたレンタカー店へ。希望車種と同じものがなかったので少し大型の車になった。ステップを上がって乗るので広々とした景色が良く見える。しばらく運転し、夫も慣れたようだ。何しろ対向車もほとんどない、北海道らしいまっすぐな道。これだけ空いていればペーパードライバーの私でもいけそうな感じだ。
 ほどなく茶色と緑の縞模様がうねる畑の向こうに、灰色の空をバックに木々が並び立つ絵葉書にあるような景色が見えてくる。メルヘンの丘という名称の写真スポットになっていた。
 途中林の中の来運神社へ。原生林の中、枝を払った跡の残る丸木でできた鳥居は苔むし蔦が絡まっている。このワイルドな感じが北海道らしい。進むと社殿があるわけではなく、きれいな湧き水が採取できる場所になっていた。水の神様を祀っているらしい。
 近くにこの水で蕎麦を打っているという蕎麦屋があるのでそこで食事にする。添えられているわさびは山わさびで、ローストビーフなどで使ういわゆるホースラディッシュらしいが、本州で食べるわさびよりマイルドな感じである。
 起伏のある道と広大な畑が続く。途中の丘の上で景色を見渡すが、道は地平線まで続いている。狭い日本でこんな景色は北海道でしか見られまい。周囲には雑草的にルピナスが咲いており、ニュージーランドの観光写真のようだ。普通こういう花は栽培して人が手入れしているのでは、と思われるが植えたものが自然に増えたのか、そこら辺にやたらと生えていた。関東ではほぼ見かけない卵色のつつじも多い。
 知床へ向かい、オシンコシンの滝を見て、知床連山の湿地帯を歩く。手すりのついた立派な木道がありかなり広い。生憎今にも降り出しそうな曇り空だがさらに霧がでて遠くの方が白くけぶっている。知床五湖とあるののだが奥の方は霧に隠され池だか湿地だか判然としない。観光客もいるにはいるが、広すぎて、さらに霧に隠れまばら。冬はさぞかし寂しい景色になることだろう。
 知床自然センターから歩いて散策。海際は入り組んだ崖になり、対岸にフレぺの滝というものが見える。フレぺは赤い水、という意味らしい。夕日に染まって赤く見えたとかなんとか。別名乙女の涙、とも。断崖の割れ目からホロホロと湧いて流れる水が涙の様だから、だそうな。滝の湧き流れる断崖絶壁とオホーツク海、晴れていたらさらに絶景だろう。
 知床斜里町の街に入るとウトロ漁港の付近にあるゴジラ岩が見えてくる。角度によってはなんとなくゴジラのように見えなくもない高さ15メートルの岩。国内最大級の岩だというからゴジラといわれるのも納得かも。後にドローンから撮影された写真を見たが、上から見たほうがゴジラっぽい。
 二か月前にここからでた観光船が沈没する事故があった。当時は連日テレビで映されていたその運営会社のあったとおぼしき通りを通過する。当然閉鎖しているしマスコミももういないのでここだ、という確信は持てないが、テレビに出ていたのはこの辺だというのは分かる。もはやなんの気配もない。6月でも気温が一桁になるのだから4月は相当寒かっただろう。被害者のご冥福を祈りたい。
 
 斜里町で一泊後、羅臼岳を左手に見ながら知床峠を登る。途中でエゾシカの親子が草を食み林の中へかけていくのが見え、思わずシャッターを切る。鹿のお尻が真っ白な毛でおおわれているのを初めて知った。昨日と打って変わってこの日は快晴。青空を背景にした羅臼岳の頂上付近にはまだ冠雪が残って白く輝いている。
 と思っていたら羅臼岳を背に峠を越えた反対側は曇天だった。冬の日本海側と太平洋側で山を境に天気が違うのと同じことか。峠を下り半島を突っ切って羅臼町へ向かう。そこから根室海峡に沿って南下し、標津町へ。北方領土が見える展望場所に寄るが、曇っていて国後島の影がぼんやりと見えるばかり。しかしすぐそこにあるのはわかる。海に囲まれた日本で外国がこんな間近にあるのを見るとなんとなく不穏な気分になる。
 標津町の郷土料理の店でホタテがてんこ盛りの海鮮丼を食べ、野付半島へ。北海道の地図をかなり拡大すると見えてくるものすごく細い消え入りそうな半島である。正直に言うと、この細い半島、ざっくりした地図では大きな北海道全体に目がいっていて、ここに来るまで存在に気づかなかった。グーグルマップをかなり拡大していって初めて、こんな場所があったのね、とわかり、この先の方は一体どうなっているのか興味が湧いてくる。実際あの砂州のような部分にもちゃんと道路はあり、車で突端まで行ける。中ほどのナラワラ展望スペースからは湿原の中に立ち枯れたナラの木の林が見える。途中のネイチャーセンターに駐車し、そこから横道に入ってさらに進むとトドワラへ。砂嘴にあったトドマツの原生林が海水の上昇や長い年月で枯れ木となったもの。ネイチャーセンターに戻り、再び車で本道を進む。舗装道路がなくなるところの駐車場に車を停め、後は湿地帯に作られた橋や木道を歩く。どんより曇った空に立ち枯れた木々の湿原。遠くにタンチョウ鶴の姿も。なんとも物寂しい光景。これは暗くなったら相当不気味そう。これ以上はいけなそうなところまで行って引き返す。江戸時代はこのあたりにも集落があったらしいが、ものすごく不便そう。どうやって暮らしたのだろう。
 海沿いをひた走りその日の宿は根室へ。ホテルの目の前に小学校がありこじんまりとした地味な街。そういえば子供のころ「ニムオロ原野の片隅で」という本を読んだ記憶がある。今も図書館の児童書コーナーにあると思う。都会から野鳥を見たくて根室半島に引っ越し、土地のことを何も知らなかった作者が周囲の人々に助けられながらここでの暮らしに馴染んでいく、という体験記で、子供心にも北海道の自然や人情に感動した面白い本だった。その作者が後にここ根室で宿屋を経営し人気を博しているとかなんとか、根室の街のどこかに書かれていた。
 
 翌朝、納沙布岬へ行く。北海道のというか日本の東の果てである。根室市北方領土資料館がある。北方領土が遠くに見えるような場所だが相変わらず天気は曇り。そして朝というのもありかなり寒い。多分この旅で一番寒かった。気温5度いくかどうかなのでダウンジャケットを着るが、岬に登る道は風が吹き付けるのでますます震えあがった。
 その後、根室を経由し釧路方面へ。途中根室車石なるものに立ち寄る。海際にある柱状節理を球状にしたような放射状節理構造の玄武岩。直径6メートル。かなり珍しいものらしい。海底火山の噴火などで溶岩が海水中で急冷されてできるもので,枕状溶岩というらしい。同心円状?放射状の割れ目があり,これは溶岩が冷却する際の収縮のためにできた節理とか。この溶岩が冷えて固まったのは今から6000万年前,恐竜が絶滅した頃らしい。