揺れない幸福
本当に強い幸福は、もっと静かで、もっとタフで、もっとしなやかだ。
それは――
どんな苦難が来ても、自分のペースで進める「内側の安定」を持っていること。
外で何が起きても、心の中心が揺れない“地盤”をつくることだ。
最近は「メンタルが強い人」や「折れない心」なんて言葉がよく聞かれる。
でも本当のところ、強さとは筋肉のように力むものではない。
もっと“自然な重心”の話だ。
たとえば、どんな風が吹いてもゆらゆら揺れながら立ち続ける、竹のような柔らかさ。
あるいは、天気が晴れでも雨でも淡々と動く、地下を走る電車の安定感。
そんな「ぶれない軸」を、人生の深いところに持つこと。
だから幸福とは、
運がいい・悪いに右往左往しない、自前の“心のエンジン”を育てることでもある。
運は気まぐれだ。
調子がいい日もあれば、一つのトラブルが何連鎖にも広がる日もある。
人生はガチャのようなものだ、とよく言われる。
でも実際のところ、本物の幸福はガチャ運とはまったく別の次元にある。
・不運が来たからといって折れない
・幸運が来たからといって浮かれすぎない
・どんな日も「自分で進む」姿勢を失わない
これが“揺れない幸福”だ。
そして、その境地は突如として訪れるものではない。
日々、自分が感じる小さな感情、小さな不安、小さなイライラ――
それらをひとつひとつ受け止め、整え、アップデートしていく中で、
ゆっくりと生命の底から育っていく。
まるで、深海の水圧に鍛えられた層が、静かに厚みを増していくように。
では、どうやってそんな境地を開くのか。
答えはシンプルだ。
「今日の自分を、今日の自分で引き受ける」こと。
完璧じゃなくていい。強がる必要もない。
ただ毎日、できる小さな一歩を重ねる。
・今日の疲れを素直に認める
・誰かの言葉にざわついた自分を否定しない
・不安の正体を見つめてみる
・ちょっとだけ深呼吸してみる
・ひとつの優しさを誰かに渡してみる
そうした“微細な積み重ね”が、やがて巨大な安定となり、
苦難を悠然と乗り越える力へと変わっていく。
幸福とは、一瞬のキラキラではなく、
静かに燃え続ける“内側の火”を手に入れること。
その火は、あなたの人生のどんな嵐にも消されない。
これこそが、
運・不運に左右されず、人生の荒波をしずかに越えていく「最高の境地」である。



