朽ちた聖域 Ⅳ真の聖域へ
エピローグ
それからさらに数カ月後、野口亜美は卒業演奏会の日を迎えた。薄い紫色のドレス姿の彼女は、ステージの上で一礼した。
彼女が演奏を始めようとしたとき、客席に濱内、伊藤さん、さらに杉内先輩の姿が見えた。また、彼の隣の席が、温かそうな光に包まれているのに気付いた。そこに居るのが誰なのか、彼女はすぐに分かった。
(来てくれたのね……!)
亜美は、聴衆の大多数と演奏会の参加者が初めて聞く曲を演奏した。
そう、かつて廃教会で、古びたピアノで演奏された、優しく慰めるような旋律のあの曲を…。
作品名:朽ちた聖域 Ⅳ真の聖域へ 作家名:藍城 舞美



