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春野は、医療の現場で「防げたはずの死」に何度も出会い、無力感に苦しむ。
そんな時、故郷の白石医師が倒れたと聞き、数日だけ手伝いに帰る。
しかし診療所は穏やかで、患者たちは白石医師の教えにより、皆「自分の体の兆し」を理解していた。
春野はミヨさんの一言にハッとする。
「先生はね、“病気は声を出す前に、息を止めるんですよ”って言ってたよ」

白石は静かに語る。
「医者の仕事は、治すことじゃない。感じることを取り戻す手伝いだ」

春野は帰京の夜、田んぼを吹き抜ける風に、はじめて“予防とは生き方”だと気づく。
――未来は予測ではなく、感受で守るものなのだ。