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タカーシャン
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novelistID. 70952
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コントロールできない世界に生きる

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コントロールできない世界に生きる

私たちは、世界を自分の思う通りに動かせると信じて生きている。
努力すれば報われる。計画すれば未来は形を整えられる。説得すれば人の心も変わる。
そうした信念が、人間社会を発展させ、文明を前へ押し進めてきた。

しかし、もし仮に「この世にコントロールできるものは何もない」としたらどうだろう。
すべての結果は偶然に生じ、他者の心も、自然の流れも、自分の未来さえも、握ることはできない。
この前提は、私たちの生き方を根底から揺さぶる。



平和は「手放す」ことで生まれる

争いの火種は、いつも「相手を思い通りにしたい」という欲望にある。
だが、相手を完全に支配することなど不可能だ。
変えられぬものを変えようとする限り、争いの炎は消えない。

「他者をコントロールできない」と受け入れたとき、人は初めて支配を手放す。
力による制圧ではなく、互いの存在を尊重し、共に流れに身を委ねることが、平和の基盤となる。



安定は揺らぎの中にある

私たちは安定を求める。だが世界は、風のように、波のように、常に揺れている。
安定とは「揺らがないこと」ではない。
揺らぎの中で倒れずに立ち続ける柔らかさ、それが本当の安定である。

竹のようにしなやかに、波を受け流すように生きる。
硬さではなく柔軟さにこそ、安心は宿る。



心は「委ねる」と軽くなる

多くの心の苦しみは、「自分の思い通りにできるはずだ」という幻想と現実のギャップから生まれる。
未来を計画通りに動かせず、他人の心を変えられない。
その落差が、不安や苛立ちの源だ。

しかし、もともと何も握れないと知ったとき、心はふっと軽くなる。
風にほどかれる糸のように自由になり、「いまここ」にある小さな出来事を味わうことができる。
その自由こそが、静かな幸福のかたちである。



無力ではなく、しなやかな力

コントロールできない世界に生きるということは、無力であることではない。
むしろ、流れに抗わず、それでもなお立ち続けるしなやかな力を意味する。

手放すことで人は強くなる。
支配をあきらめることで平和が訪れる。
揺らぎを受け入れることで安定が生まれる。
未来を委ねることで、心は静まる。

握るのではなく、委ねること。
その転換の中に、私たちの成熟と自由があるのかもしれない。