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タカーシャン
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novelistID. 70952
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増やす時代から、減らす時代へ

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増やす時代から、減らす時代へ

60〜80代の世代が歩んできた日本は、「増やすこと」が豊かさの証だった。
戦後の焼け跡から立ち上がり、家を建て、車を持ち、家族を養い、地位や肩書を手に入れる。
そこには「やることこそが充実」という価値観が根強くあった。
モノを増やし、満足を積み重ねていくことが、生きる意味と直結していたのだ。

しかし、時代は変わった。
すでにモノはあふれ、やるべきことに追われれば追われるほど、人はむしろ心を失っていく。
形だけの忙しさに振り回されて、本当の豊かさを見失う人も少なくない。

これからの世代に必要なのは、「減らすこと」だろう。
余計な予定を入れないこと。
持ちすぎないこと。
やらなくてもよいことを勇気を持ってやめること。

その空白にこそ、小さな喜びが息づく。
ふとした風の匂いに気づき、誰かの笑顔に救われ、目の前の一輪の花に心を寄せる。
そんな日々のひとこそが、心を養い、人生を豊かにする。

さらに大切なのは、自己満足で完結しないことだ。
「自分だけが良ければいい」から卒業し、他者や社会と分かち合える喜びを見つけていく。
その時、私たちは「増やす時代」が築いた基盤の上に、「減らす時代」の新しい価値観を重ねることができる。

増やすことから減らすことへ。
量から質へ。
自己満足から共感へ。

それがこれからの世代に託された、新しい充実のかたちなのだ。