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「あ、」

ボクはお願いを言ってみた。
キミのあの敷物の所に胡坐をかいて座る。その背中にくっついて欲しいと。子どもが愛しみ親の背中に絡むようなそんな様子。ボクにしてくれないかと。
キミは 静かに座り込んだボクの背中にくっつくと ボクの首に両手を回してくれた。
何の声もなく。温もりが伝わってくる。
ボクの目頭が熱くなる。零れそうだ。いいかなぁ、前を向いているからわかんないかなぁ。
鼻水啜ったらばれるかなぁ。そんなことを悟られないように 声が震えないように訊いた。
「チクチクしてない?」
キミの頷きが肩に感じられた。
「うん、そっか、うん、そっかぁ」
「チュウしていい? にゃぁん」
柔らかなものが ボクのうなじの横っちょに感じられた。
(ありがとう)これでもかと言わんばかりの大きな言霊を心は叫んだ。
ボクは、ボクの回る限りの首を捻り、キミの頬に唇をつけた・・・い。
しかし、その思いは叶わず、小さくゴキッと音を鳴らした。
「にゃん」
キミは 立ち上がり、キッチンへと消えていった。
いい香りがしてくる。
さてと、ボクも 立ち上がる。少し鼻を啜った。

「待たせたな(万年筆よ)」
ボクの部屋には キミが居る。ずっとずっとキミが居るのがいい。
ただそれだけでいい。

・・・ってことも これからは変わっていくのもいいかもしれない。
ボクとキミ。
また、始めよう。
まっさらな原稿用紙にインクが走るよ。
ずっとずっと・・・ずっと 軽やかに舞う。



     ― 了 ―
作品名: 作家名:甜茶