羽
部屋に迷い込んだ。
ボクの頭の中の そうなんというか・・思考の部屋。
あれから、ボクの部屋がボクタチの部屋になった。もう独書室ではないにしてもボクの仕事場であることは変わらない。キミがいることも変わらない。そんな空間の中で ボクの万年筆のご機嫌は良好だ。ただ ボクの背中の後ろの気に掛かったものが暖かく感じられるのは気のせいだろうか。
ボクは頭の中の思考の部屋で迷っている。原稿用紙にインクを走らせては 思考の部屋で違う引出しを開けて言葉を探している。書き出し3行の原稿用紙が数枚床に落ちていった。
「にゃ・・」
小さな声がしたが ピタッと止まった。
キミがボクに声を掛けないようにと口を押さえたのだろう。
そんな気遣いをしてくれる時、キミがボクの腕におさまらなくなってしまうような不安を感じてしまう。キミは、ずっとずっとやんわりした空気のような気遣いでボクを包んでいるのに ボクのほうが ゴツッと尖った小石を投げていないだろうか。背中に棘を背負っていないだろうか。気付かなかったくらいの変化。
『にゃん』が聞けていない。
これは由々しき問題だ。そうなり得ることだとボクは直感する。
だけど どうする? そのままにしておくと大変なことになるかもしれないと思っても、ボクタチに いや 少なくなくボクにとっては非常に重大な問題という気持ちが膨らみ始めた。
キミは素敵な・・ すてきな・・・
駄目だ。キミを想う部屋に心がとどまって万年筆がヤキモキしている。
真っ白な原稿用紙に キミを書いてみようか。
いや違う。こんな事ではないんだ。
指環はしないのならと キミから贈られたネックレスに通されたリングを握り締めた。
「にゃぁん」
キミの声に 振り返った。
なんて顔しているんだ。窓からの陽射しに宝石のように輝く瞳がボクを見ている。
ん。夜中のニャンコの目か。何が言いたい? ほら、次の「にゃん」はなに?
キミの丸かった目元が 緩んだ。
キミは素敵な・・すてきな・・・
照れるなぁ
キミは 床に落ちていた原稿用紙を拾ってボクに差し出す。
「いや、いいよ。そのまま そのまま」
キミは、また落ちていたように床に戻した。
「にゃぁん」ごめんねといっているような声に ボクは両手を広げて迎える体制。
いや、駄目だ! ボクが抱きしめにいかなければ、(万年筆よ しばし待て!)とボクは立ち上げる。
ギュウッ!
腕の中でボクを見上げるキミの目は丸く驚いていたが ボクは離すものかとギュッとまた抱きしめる。
「グフッ、」
初めて聞くその声に ボクの腕は一瞬にして緩んだ。そして、後悔。
ボクの頭の中の そうなんというか・・思考の部屋。
あれから、ボクの部屋がボクタチの部屋になった。もう独書室ではないにしてもボクの仕事場であることは変わらない。キミがいることも変わらない。そんな空間の中で ボクの万年筆のご機嫌は良好だ。ただ ボクの背中の後ろの気に掛かったものが暖かく感じられるのは気のせいだろうか。
ボクは頭の中の思考の部屋で迷っている。原稿用紙にインクを走らせては 思考の部屋で違う引出しを開けて言葉を探している。書き出し3行の原稿用紙が数枚床に落ちていった。
「にゃ・・」
小さな声がしたが ピタッと止まった。
キミがボクに声を掛けないようにと口を押さえたのだろう。
そんな気遣いをしてくれる時、キミがボクの腕におさまらなくなってしまうような不安を感じてしまう。キミは、ずっとずっとやんわりした空気のような気遣いでボクを包んでいるのに ボクのほうが ゴツッと尖った小石を投げていないだろうか。背中に棘を背負っていないだろうか。気付かなかったくらいの変化。
『にゃん』が聞けていない。
これは由々しき問題だ。そうなり得ることだとボクは直感する。
だけど どうする? そのままにしておくと大変なことになるかもしれないと思っても、ボクタチに いや 少なくなくボクにとっては非常に重大な問題という気持ちが膨らみ始めた。
キミは素敵な・・ すてきな・・・
駄目だ。キミを想う部屋に心がとどまって万年筆がヤキモキしている。
真っ白な原稿用紙に キミを書いてみようか。
いや違う。こんな事ではないんだ。
指環はしないのならと キミから贈られたネックレスに通されたリングを握り締めた。
「にゃぁん」
キミの声に 振り返った。
なんて顔しているんだ。窓からの陽射しに宝石のように輝く瞳がボクを見ている。
ん。夜中のニャンコの目か。何が言いたい? ほら、次の「にゃん」はなに?
キミの丸かった目元が 緩んだ。
キミは素敵な・・すてきな・・・
照れるなぁ
キミは 床に落ちていた原稿用紙を拾ってボクに差し出す。
「いや、いいよ。そのまま そのまま」
キミは、また落ちていたように床に戻した。
「にゃぁん」ごめんねといっているような声に ボクは両手を広げて迎える体制。
いや、駄目だ! ボクが抱きしめにいかなければ、(万年筆よ しばし待て!)とボクは立ち上げる。
ギュウッ!
腕の中でボクを見上げるキミの目は丸く驚いていたが ボクは離すものかとギュッとまた抱きしめる。
「グフッ、」
初めて聞くその声に ボクの腕は一瞬にして緩んだ。そして、後悔。