骨のナイフ
「どうした? 私の花嫁になりたくないのか」
やがて、人魚姫は涙をこぼしながら、震える手でナイフを抜きました。さっきと同じように、銀色に光る刃を。そして。
※人魚姫あらすじ
人魚姫は嵐の日、沈没した船から気絶した王子を助け出し、岸へと運ぶ。介抱したかった物の、人間の気配に気づいた人魚姫は海へ逃げ帰る。
海に戻っても王子の事が忘れられない人魚姫は、声と引き換えに魔女から人間の足をもらう。しかもその魔法には誓いが必要で、王子と結婚できなかった場合、人魚姫は泡となって消えてしまうというのだった。
城へむかった人魚姫は王子に妹のようにかわいがられる。だが、王子は人魚姫ではなく、姫が去った後にやってきた人間の娘こそ命の恩人だと勘違いしていた。だが、声を失った人魚姫はそのことを説明することもできなかった。
王子と人間の娘の婚礼の夜、姉の人魚が短剣を持って現われる。王子を殺せば魔法は解け人魚姫はまた海へと帰れるのだ。しかし、どうしても王子を殺せない人魚姫は、海の泡になって消えるのだった。