7つの夢の物語
第7夜 死と眠り
夢の中で、これは夢だと気づくことがある。例えば、自分が本来いるはずのない場所にいるような時である。
その夢の中でも、ふとした拍子に「これは夢だ」と認識した。いつまでも寝ているわけにはいかないので、起きなければならない。
夢から覚めようと思った時には、主に二つの方法がある。一つは、無理やり体を動かしてみること。それによって現実世界の身体が動くと、目が覚める。もう一つは、現実世界で寝ている自分と同じ体勢をとる(いわゆる横になる)こと。
その時は、現実世界に戻るために、布団の中にいるのと同じ姿勢をとろうと決めた。横になろうとすると、そばにいた人が忠告してくる。
「君はこの夢から覚めない方がいい」
どうしてかと訝る自分にその人の説明が続く。
「君の肉体は、現実世界ですでに死んでしまっている。今、夢から覚めて現実に戻ると、その死んだ肉体に戻ることになるから、その瞬間に死んでしまうよ」
確かに死んだ肉体に戻ったら死ぬことになるだろう。それならば、夢から覚めようとすることは文字通りの自殺行為だ。
しかし、肉体が死んだ状態で、このような夢を見ることは可能なのだろうか。もし可能だとして、夢を見続けていれば、自分はこの夢の中にいつまでも存在し続けられるのだろうか。これほど鮮明な夢を見ているからには、肉体は生きているに違いない。しかし万が一……。
逡巡している間にも、体は横になっていた。果たして、生きた状態で目を覚ますことができた。そして今、こうして夢の記録を書いている。